〈夏の高校野球青森県大会:柏木農4-7青森商(延長11回)◇14日◇2回戦◇弘前・はるか球場

“部員7人”の柏木農の夏が終わった。青森商に土壇場9回に追いつかれ、延長戦の末に4対7で敗れ、初戦突破は果たせなかった。柏木農は単独廃校ルールを活用して過去2回甲子園出場の弘前学院聖愛から3選手の派遣を受けて、今大会に臨んでいた。

延長11回の激闘。足をつるなどの負傷もあり、柏木農ナインは最後は8人になった。派遣選手として加わった聖愛の選手もスタンドへのあいさつに加われなかった。

満面の笑みで聖愛のユニホームを着た選手たちとともに校歌を歌うはずだった。延長11回に青森商に3点を勝ち越されると、反撃する力は残っていなかった。それでも最後まで「柏愛魂」を貫いた。0対0の3回、柏木農は先頭の菅野(聖愛派遣選手)が中安打で出塁すると、2番村田(柏木農)が左安打でチャンスを広げ、1死になってから4番成田(聖愛派遣選手)が右適時打で先制した。5番松田(柏木農)も続いて2点のリードを広げた。4月に派遣選手で挑むことが決まってから「柏愛」が刻まれた練習着で切磋琢磨してきた打線が爆発した。勝利が見えた9回に青森商に同点に追いつかれ、さらに10回に1点を勝ち越されたが諦めなかった。練習試合でも勝てなかったメンバーが勝利を信じて打席にたった。3対4のタイブレーク10回裏無死一、二塁、4番成田(聖愛派遣選手)が中前適時打で一時同点に追いついた。

本来であれば単独出場できないが、日本高野連が定める部員不足の特別措置の1つ「単独廃校ルール」を活用して大会出場にこぎつけた。青森県では2015年に岩木高校(17年閉校)がこの制度を使ったことがあるが、廃校しない学校が「単独廃校ルール」を活用したのは県内初。大会前に聖愛からの派遣選手として加わった成田翔音捕手(2年)は「(柏木農の)校歌を一勝して歌いたい」と話していたが、その願いはかなわなかった。

◆単独廃校ルール日本高野連が定める部員不足の特別措置の1つ。選手が5人以上9人未満の場合、10人になるまで選手の派遣を受けることができる。