日本からカンボジアへの支援というと、橋や公共施設の整備、また内戦時代から残る地雷の除去、を思いつく。だが、それと同じくらい重要度が高まっているのはデジタル分野での協力だ。東アジア情勢に詳しい、飯田和郎・元RKB解説委員長が7月11日に出演したRKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』でコメントした。
ぜい弱なカンボジアのサイバーセキュリティ
上川陽子外相は7月5日、カンボジアの首都プノンペンで、ソック・ チェンダ副首相兼外務国際協力相と会談した。テーマはデジタル分野での協力、とりわけ日本がカンボジアのサイバーセキュリティ対策で連携していく、というものだった。距離的にカンボジアは遠いが、このことは日本に住む我々の、日々の生活と無関係ではない。
日本からカンボジアへの支援というと、橋や公共施設の整備、また内戦時代から残る地雷の除去、を思いつくが、私はデジタル分野での協力に目が行く。中でも公的機関、また民間企業のネットワークへの、外からの攻撃を防御するサイバーセキュリティ対策については、カンボジアの場合、ぜい弱だ。危険と思う意識も低い。それがインターネットを活用した国家の発展を阻害している。
それだけではない。カンボジアは、インターネット犯罪の、国際的な拠点の一つになっている。攻撃を受けることだけではなく、カンボジア国内から犯罪行為が仕掛けられている。そんな現実も直視しなくてはいけない。インターネットだから、国境を越える。日本でも大きな被害が出ている。
中国人680人がネット詐欺容疑で送還
今年4月、その犯罪の広がりを象徴するような出来事があった。中国の中部・武漢の空港での様子を、中国メディアが報道している。
“「インターネットを悪用した詐欺に関与したとして、中国人の容疑者135人が、カンボジアから中国に送還されました。容疑者らは、中国の公安当局が用意したチャーター機2機に乗って、本国に移送されました」”
チャーター機2機に135人。なんとも、大規模な犯罪者の本国送還だ。報道によると、ネット犯罪で詐欺を働いたとして、カンボジアの警察が逮捕した中国人容疑者は、この4月までに計680人。逮捕・拘束された全員が、中国に送り返された。
中国の公安当局は、国境を越えたネット犯罪の撲滅を進めている。同時に、オンラインを使った違法な賭博行為、インターネット詐欺の新たな手口や特徴に細心の注意を払うよう、中国の国民に向けて注意を呼び掛けている。