里見香奈女流五冠が女性初の「棋士」に向けての棋士編入試験の第一局が始まりました。五番勝負三勝すると棋士になれます。「女流棋士」が「棋士」になるには?「女流棋士」とは?「棋士編入試験を受ける条件」とは?スタジオで解説します。
ホラン千秋キャスター:今、偉業に挑戦している方がいます。
女性初の棋士へということで、棋士編入試験の第一局が始まっています。
5番勝負、3勝すれば、棋士になるということなんですが、それに挑戦をしているのが、島根県出雲市出身の里見香奈さんです。終盤の攻めの鋭さから「出雲のイナズマ」という異名をお持ちです。
女流棋士としてデビューしたのは2004年、12歳のとき、そしてはじめてタイトルを獲得したのが16歳のときです。
将棋を始めたきっかけは、小学1年生の時に、誰に教えられるでもなく、自分でルールを覚えて将棋を始めたということです。
20年ほど前の取材(2003年の取材)で、お兄さん拓也さんは
「将棋をしていないときは普通の女の子だけど、将棋を指すと目つきが変わって怖い」と里見香奈さんの印象を語っていました。

史上初の女流5冠という偉業を持っています。女流タイトルは8個あるんですけれども、そのうちの、清麗・女流王座・女流王位・女流王将・倉敷藤花の五つをお持ちだということです。
今回の対局について、里見さんは
「自分の実力からすると厳しい戦いになると思うが全力で挑みたい。5局全体を考えるというより目の前の対局に全力を尽くす」と話されていました。
女流“棋士”は名前に棋士が付いているので、もう棋士じゃないかと思われる方もいると思うんですが、実は制度がやや違うということです。
女流棋士というのは正式な棋士ではないそうです。男女を区別しているわけではないですが、現状、棋士と呼ばれる方々は男性しかいないということです。今までこの女流棋士という肩書きの中から棋士になった人はいないということです。

この棋士編入試験を受ける条件として、「男女関係なく、直近の公式戦で10勝以上、かつ勝率6割5分以上の成績を収めたアマチュアや女流棋士」の方々が受けることができるということです。
そして、今回この里見香奈さんが女性で初めて条件を満たしました。この条件を満たすことすら今まで難しかったということですね。

なぜいままで女性の棋士がいなかったのか、将棋ライター松本博文氏に伺いました。「女性と男性では将棋の歴史に大きな差がある。男性に比べ女性の競技人口は少なく実力の差が生まれているのではないか」とのお話でした。
ですので、期間と人数の多さとこういったところの背景が影響しているんではないかということです。

井上貴博キャスター:
このニュースを扱うたびに感じることですけど、あくまで女性の棋士を女流棋士と呼ぶのではなくて、もう棋士と女流棋士っていうのが全く別の制度で仕組みで成り立っている。
ぜひこの壁をぶち破っていただきたいなと思いますね。
萩谷麻衣子弁護士:
以前この話題を扱ったときに、「もう今の時代女流棋士と棋士の区別いらないんじゃないか」と発言したところ、お叱りのご意見をいただきまして、女流棋士というのは、女性の活躍の場であるということを知ったんですが
ただ女流棋士になってもまだまだ経済的基盤が弱いということもあって、そこをもう少し改善していって、女流棋士になれば経済的にも自立して戦っていかれるんだっていう体制が組めれば、もっと女性も親としても、女の子だけどちょっと将棋させようという人も増えて、女性の将棋やる人の母数が増えて、棋士そのものになる人が増えていくのではないかと思います。
井上貴博キャスター:
ここ10年ぐらいで専門家が言うには女流棋士も相当レベルが上がってきている。そうなるとテレビでも取り上げられる。そうするとスポンサーがつく。やはり給料稼げるということビジネスになる
萩谷麻衣子弁護士:
大会によっては高額な賞金が出るものも出てきてるようです。