「ヘルプマーク」を知っていますか?東京都から始まった今年で10年になる取り組みで、今、全国へ広がり、さらに進化しています。そこで、この取り組みと、進化の今について取材しました。

■東京から全国区へ「ヘルプマーク」誕生10年

まずは「ヘルプマーク」について、東京都福祉保健局の金野友紀さんに伺いました。

――どんな仕組みなんでしょう?

東京都福祉保健局 金野友紀さん:
「ヘルプマークとは援助や配慮を必要としていることを、マークを通じて周囲の方に知らせることで援助や配慮が得やすくなるよう、2012年10月に作られました。赤地に白で「プラス」と「ハート」のマークが描かれていて、ストラップが付いているので、かばんにつけて身につけていただけるようなものです。東京都から始まって徐々に全道府県に広まっていきました」

――反響はいかがでしょう?

東京都福祉保健局 金野友紀さん:
「内部障害があって外見からわからないような方が、バスや電車の中で立っていられなかったときに、ヘルプマークを見て席を譲っていただいたりっていうことで、感謝していますっていう声が寄せられています」

――どこで買えるのですか?

東京都福祉保健局 金野友紀さん:
「障害のある方々などが援助や配慮を得やすくするようにするためのものなので、無償で配布しております。都営地下鉄や都営バス、都立病院や、公益財団法人東京都保健医療公社の病院などで配布しています」


東京都が作成して今年で10年目となる「ヘルプマーク」。発達障害や精神的な辛さ、呼吸器官や心臓などの内部障害、また妊娠初期の方など、「外見からは気付かれにくい」けれど「配慮や助けを必要とする人」が、身に着けて周囲に知らせることが出来るアイテム。ストラップが着いているのでカバンなどに身に着けている物に簡単に装着できます。

東京発で、徐々に全国的に広がりを見せ、2017年には全国共通マークになり、去年、2021年10月には、全都道府県で無料配布されるようになりました。

東京都では本人、もしくは家族や支援者などの代理人の方からの口頭による申し出により、1人につき1つ、無償で配布しています。

そして、今、このヘルプマークを拡張するような進化アイテムも出てきています。札幌市にある障害者就労支援施設、就労継続支援ビルドの生活支援員、森田安希子さんのお話しです。

■何が辛いのか?缶バッジ「トリセツ!」でわかる

――どんなアイテムなんでしょう?

就労継続支援ビルドの生活支援員 森田安希子さん:
「『トリセツ!』という缶バッジです。具体的に自分たちはこんなことに困っているこんな配慮が欲しいというようなことを、動物などのイラストを使って、外部に可愛く楽しく伝えられるツールとして販売しています」

――具体的にはどんな内容なんでしょう?

就労継続支援ビルドの生活支援員 森田安希子さん:
「主に発達障害で困っている感覚過敏にまつわるものが多いです。例えば、大きな音が苦手ですという聴覚過敏に関するものについては、山で熊鈴やベルに驚いているヒグマのイラストが載っています。また人混みが苦手ですという缶バッジでは、シマエナガがという北海道の鳥が、ぎゅうぎゅうの中で困っている様子が表現されています」


――どうしてこれを作ったのでしょう?

就労継続支援ビルドの生活支援員 森田安希子さん:
「ヘルプマーク自体も認知が少し広がってきているかと思います。ただ、どうしてもそれだけだと、自分がどのように困っているかという事を、見た目でわかってもらうことは難しいかと思うんですけれども、こういった缶バッジを補助的に使うことで、少し具合が悪そうなときに助けていただきやすくなる、もしくは必要な配慮を伝えやすくなるという効果があると考えています」


イラストに描かれている動物は、施設が北海道にあることから、シマエナガ(白い鳥)やヒグマなど北海道で有名な動物をメインに描かれていて、現在、全18種類。

この「トリセツ!」を企画販売しているビルドは、障害のある方が自分のペースで働く練習をしていける場所。こちらでは、施設の利用者さんがイラストを描いたりデザインをするお仕事をしています。自分のイラストが実際に世に出る商品に使われるといういい機会にもなりますし、同じように障害を持った方達の助けになるアイテムに携われるということで良い循環になっているようです。

缶バッジなので、洋服や持ち物に気軽につけることも出来ますし、先ほどのヘルプマークに補助として着けて利用されている方もいるそうです。値段は缶バッジとシールセットで、税込み550円。BASEと言う通販サイトから購入が可能です。

こちらはかわいいデザインが特徴で、過敏症でマスクがつけられない子どもたちからは、かわいいイラストで抵抗なくつけられると人気の様子。