「自分たちと同じ 喜怒哀楽のある人間」共に生きる道は

前編にて紹介したクルド人の新年祭「ネウロズ」に戻る。毎年行われてきたこの祭りだが、今年は乱闘事件をきっかけに「クルド人に貸し出すべきではない」という強い抗議の電話などが公園を管理する県側にあり、一時は開催が危ぶまれたという。

だが、なんとかこぎつけた会の踊りの輪には、多くの日本人が加わり、クルド人とも手を取りあって踊った。若い日本人カップルが「まるで外国映画の中みたいで楽しい」と顔をほころばせる。そんなクルド人にとって年に1度の晴れ舞台で2歳のとき来日した仮放免の少女がこう呼びかけた。

クルド人の少女
「クルド人だけではなく、日本の方、ほかの国の方、全員に楽しんで頂けるようなお祭りになっているので、最後まで楽しんで下さい!」

去年7月以降、社会の視線が急に厳しくなったことを感じているクルド人も多いのだろう。少女の言葉に、盛んな拍手を送っていた。それを見ていた支援団体の温井さんに、クルド人と共に生きるためにはいま何が必要か問うたところ、こんな考え方を語ってくれた。

温井立央さん
「踊りを見たり、音楽を聞いたり、その文化を知ると、同時にそこにいる人たちの表情も見えるわけですよね。自分たちと同じ人間である、同じ喜怒哀楽をもっていて、ここで生活をしていて、ということが分かってもらうというのが一番大きいと思います」

決して平たんではないが、お互いを理解し、共に生きていく道は作れるはずだ。手を取り合い、笑顔で踊る川口のクルド人と日本人を見て、そう感じた。