毎年6月、世界中から注目を集める街が、中国にある。理由はここで開かれる「犬肉祭り」。犬肉を食べるのは伝統文化か、それとも動物虐待か?犬肉祭りを歩いてみた。
「香ばしくておいしい」「体力がつく」…1万匹が食べられる「犬肉祭り」
刺すような日差しが容赦なく降り注ぐ。熱帯特有の緩やかな空気が流れる。中国南部、広西チワン族自治区、玉林市。ベトナム国境に近く、人の顔つきも街並みも、街を走り回るバイクの多さも、東南アジアをほうふつとさせる。

この人口600万人の玉林市が有名になったのは2010年から行われている、その名も「犬肉祭り」のおかげだ。
中国では古くから「夏至の日に犬肉を食べると体にいい」と言われていて、2024年も夏至の6月21日に「犬肉祭り」が開かれた。毎年数万人が訪れるという「犬肉祭り」。期間中、約1万匹が食べられるという。さっそく、犬肉料理を食べている人たちに聞いてみると…。

観光客:
おいしいよ。一口食べてみなよ。香ばしくておいしいよ
地元の人:
もちろんおいしいよ。あなたも食べてみる?体が比較的弱っているときに食べると、体力がつくよ。あなたたちが牛肉を食べるのと同じだよ。

犬肉料理は甘辛く味付けがしてあり、鳥とも豚とも牛とも違う、独特な食感がある。臭みはない。コラーゲンが多く、豚足に近い味、というとイメージがわくかもしれない。酒のつまみという感じ。確かに白酒を飲みながら食べている人の姿が目に付いた。玉林市では夏至の日だけではなく、年間を通じ自宅でも日常的に犬肉を食べるのだという。
調理するのは食べるため専用に飼育された犬。玉林市内だけでも犬肉を出す店は500軒以上、犬肉の仕事に携わる人は数千人に上るという。市場ではきれいに処理された犬たちが500グラム24元(日本円で約500円)で売られていた。
