農作業にいそしんだ後は、その土地で旅やふれあいを楽しむ。「お手伝い」と「旅」で、都会の学生と人手不足の地方を結びつける新しいマッチングサービス「おてつたび」。そんな今注目のサービスの利用者に密着しました。

「手伝い」と「旅」を楽しむ! 横浜の大学生がトマト農園へ


「おてつたび」は、働いて旅も楽しみたいという人と、人手不足の地方の農業や旅館業を結びつけるマッチングビジネス。2018年、東京のベンチャー企業が始めました。

「おてつたび」の永岡里菜代表は、地域に「お手伝い」という新しい目的を作ることで多くの人が訪れ、その地域を好きになって帰ってもらえるような仕組みができないかと考えました。


現在、47都道府県に「おてつたび」先が約700か所、ユーザーは2万2000人まで拡大しています。

岐阜県飛騨市古川町は、昔ながらの街並みで知られる観光名所ですが農業も盛んな地域です。


「おてつたび」で横浜からやってきた大学生2年生の舟木菜々子さん(20歳)は、人と話すことや自然が好きで、飛騨に来ることを楽しみにしていました。

舟木さんを迎えに来たのは、今回雇い主となる地元のトマト農家・池田俊也さん(39歳)。5泊6日の予定で池田さんの農園で働くことになっていました。

(舟木菜々子さん)
「普段は旅行だったら旅行、お手伝いならお手伝いとなるが、今回は“お手伝い”も“旅”も両方合わせて楽しみたい。お肉は好きなので飛騨牛は食べたい」

「あっという間に時間が過ぎた」 おてつたびで役に立てる喜び


舟木さんの「おてつたび」初日。ミニトマトの収穫は初体験です。池田さんから、収穫方法やトマトのヘタが取れると商品価値が下がることをレクチャーしてもらいました。

一緒にヘタも取ってしまわないよう慎重に作業していきます。

ここで栽培しているトマトは9種類。黄色いものや深みのあるえんじ色のものなど形や大きさも様々で、名古屋や岐阜、大阪などへ出荷されています。


名前こそ「おてつたび」ですが、交通費が自己負担となる以外は最低賃金以上の時給が支払われ、宿泊費は無料。収穫はこの農園を支えるれっきとした仕事。レジャー気分ではできません。

参加者の中には、学生以外の人も。神奈川県から来た中川敏夫さん(83歳)は、働く楽しさを求めて来ました。まだまだ役に立てることに喜びを感じていました。

作業は昼まで。午後は観光のための自由時間となります。


(舟木菜々子さん)
「結構楽しかったです。あっという間に(時間が)過ぎて、観光が楽しみになりました」

これが単なるアルバイトではなく、「おてつたび」であるゆえんです。

舟木さんはお目当ての昔ながらの街並みの観光へ。味噌せんべいの店では店員と直接話し、オンラインの買い物ではわからない“触れ合い”を楽しんでいました。