緑のすず乃保育園は2021年の立ち入り調査で、「乳幼児突然死症候群」への対策が不十分であるなどとして、全職員が予防法などを学ぶ研修を受けていました。研修後の2022年3月には園長は、「うつ伏せ寝にすることによって乳幼児突然死症候群のリスクが高まることを勉強しました」といった内容の報告書を市に提出していました。
しかし研修を受けたあとも園長は、園児をうつぶせ寝で寝かせるよう職員に指示を出していたということで、市に対して形だけの報告をしたことが分かっています。
なぜうつぶせ寝を続けたのかー
園長は市の聞き取りに対して「人手が足りなくて、安全対策についての認識が薄れていった」と話しています。
園の設置者(今回のケースは園長)は、事故後の8月に施設廃止の届け出をしていて、すでに廃園となっていますが、市は11月14日に開かれた有識者による審議会で「施設閉鎖命令」を出す方針を固めました。
なぜ廃園となったあとから、「施設閉鎖命令」が必要だったのでしょうか?
「施設閉鎖命令」という処分が出て行政に記録されることで、園の設置者(今回の場合は園長)が新たに保育施設を開設した場合、他の自治体でも認識できるようになるからです。

「施設閉鎖命令」が出されると、施設の設置者(今回のケースは園長)に関する情報や、名称、所在地、設置者及び管理者名、処分の内容等などの基本的な情報に加え、処分の要件に該当すると判断するに至った事などが行政に記録されます。
さらに他の都道府県に対して公表されることになり、別の自治体で新たに施設を設置する際に確認が入り、施設運営のハードルが高くなるとされています。
市は当初、期限や条件付きの『事業停止命令』も検討していましたが、これまでに緑のすず乃保育園は指導を受けていたにもかかわらず、乳幼児突然死症候群への対応について今後も改善が期待できないとして、期限の無い「施設閉鎖命令」が市のこども政策審議会に提案され、11月25日に『閉鎖命令』が下されました。
処分の理由について那覇市は、乳幼児突然死症候群の予防について適切な対応を行うと報告していたにも関わらず、改善がなかったこと。乳児にミルクを与えた際にゲップをさせていない、救急対応が必要な児童の異変に救急要請や救命措置を行わないことなどを挙げています。
そのうえで、今後も改善は期待できず、施設の継続が児童の福祉を著しく害する蓋然性があると判断したとしています。