熊本県小国町出身の北里柴三郎(きたさと しばさぶろう)の新千円札の発行が、1か月後に迫っています。地元・小国町では新紙幣への期待が高まる一方、対応を迫られている業種もあります。

小国町の「北里柴三郎記念館」は、今年4月の来館者が去年(2023年)の約3倍という賑わいぶりです。

宮崎から「新紙幣になると知ってここに来て改めて功績を知った。いいですね、郷土の方でこんな立派な方がおられると」
大阪から「改めて偉大さを知ることができてよかった」

小国町出身の柴三郎は、世界で初めて破傷風菌の培養に成功し「血清療法」を開発するなど「近代日本医学の父」として知られます。熊本県出身者として、初めて紙幣の肖像画に採用されました。

柴三郎博士のひ孫・北里柴三郎記念館 北里 英郎 館長「新しいお札を見ながら、『柴三郎ってどんな人だったんだろう』と思っていただきたい」

町の至るところには新紙幣発行を記念したフラッグが掲げられたり、老舗の醤油店では新紙幣にちなんだ商品やお得なセットを販売したりと、町全体で気運が高まっています。

七福醤油店 大塚 知寛さん「小国町から偉人の方が出る。僕もそこに頑張って追いつければ。そういう気持ちで小国町を盛り上げていければ」

一方で、コインパーキングなどの精算機は新紙幣に対応するためにアップデートしなければいけません。

熊本県内で約40の駐車場を管理する企業は、50ほどある精算機を新紙幣用に更新する必要がありました。

パスート24 総務部長 宮﨑祐史さん「今年に入ってから少しずつ準備を進めてきて、今はほとんどの機械が対応を終えています」

準備は進んでいますが、当然、更新には費用がかかりました。

宮﨑さん「一機あたり大体10万円~50万円程度の費用がかかる」

更新作業を自社のスタッフで行いコスト削減を目指しましたが、それでも300万円から400万円かかったということです。

宮﨑さん「費用もかかるし対応も大変ではあるが、これも仕方のないことかなと思う。それで盛り上がれる地域があるのは非常に良いことだと思う」

日本銀行は新紙幣発行の理由について、今の紙幣が発行されて20年が経ったことで、その間の印刷技術の進歩を踏まえて「偽造抵抗力を確保するため」としています。