暑い時期に増える「食中毒」。我々の皮膚に潜んでいる“黄色ブドウ球菌”が原因になっていることも。弁当やおにぎりを作るときの注意点や、予防のポイントを専門家に聞きます。
■「細菌性食中毒」梅雨から夏に増加傾向

食中毒の主な原因は3つあります。
▼細菌(黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオ菌、O157など)
▼ウイルス(ノロウイルスなど)
▼有毒な物質(毒キノコ、フグ毒など)

細菌性食中毒の月別発生件数を見ると、梅雨時期から夏場にかけて、特に増加傾向となっています。気温・湿度が高いと細菌が増殖しやすいためです。
■皮膚に潜む“黄色ブドウ球菌” 症状が出るまで平均3時間

中でも注目したいのが、「黄色ブドウ球菌」。
のどや鼻など、皮膚の表面に潜んでいる菌で、もともと我々が持っています。傷口があると大量に菌が増殖し、毒素が発生しやすくなります。食中毒の他、おできやニキビの原因にもなります。
食べてから症状が出るまでの時間は30分から6時間(平均約3時間)と、比較的早い段階で症状が出ます。症状は吐き気や、おう吐、腹痛が挙げられます。
東北大学大学院教授 内閣府食品安全委員会委員 小坂健氏:
傷口に膿があって、例えば1グラムに10万個、菌が増えると毒素が発生するんです。それが(おにぎりを握るときなど食品に)付くと、毒素で嘔吐してしまいます。
夏になると、こういう細菌はどんどん増えます。30℃以上になると黄色ブドウ球菌もすごく増殖します。加熱すれば細菌自体はやっつけられるんですが、発生した毒素はやっつけられないので、それを食べてしまって嘔吐などが起きてしまう。
恵俊彰:
黄色ブドウ球菌の食中毒の場合、その後の体調は大丈夫なんですか?
小坂教授:
ひどい場合にはおう吐が何回も続くということがあったりするんですが、基本的には1日経てば普通に治っていくことが多いのでそれほどの心配は要りません。脈が低くなっているとか、本当に体調が悪いという場合は、医療機関に相談されるといいと思います。