15日の高裁判決は一審判決と何が違ったのか

▽愛久澤力也記者
一審では、原告らの住居が基地から離れており、直接被害を受けないとして訴訟を起こす資格「原告適格」がないと訴えを退けていました。国土交通大臣が埋め立て承認を取り消した「裁決」が適法だったかどうかについて、実体審理には踏み込みませんでした。

しかし15日の高裁判決では、騒音や振動などにより住民らが健康や生活環境に被害を受ける恐れがあるとして、「検討するまでもなく、原告適格を有する」と示しました。その上で一審で更なる弁論が必要だと、差し戻しています。これまでの裁判のように門前払いされなかったということです。

県が国の裁決の違法性を主張した同様の裁判でも、2022年に最高裁が「都道府県は訴訟を提起する適格を持たない」と判断し、訴えを退けるなど、辺野古移設関連の訴訟では門前払いが続いてきましたが、今回の判決は一石を投じた形になりました。

原告弁護団 今後の裁判は工事の正当性を問う「重要な裁判」

▽弁護団 白充弁護士(判決後の会見)
「この裁判で国土交通大臣の裁決が取り消されれば、沖縄県知事のした公有水面埋立承認撤回処分が復活する(埋め立てが承認されていない状態になる)。すなわち、今国が強行している工事の正当性が根底から否定されることになる重要な裁判である」

▽愛久澤力也記者
今後は、高裁判決を不服として国側が上告した場合、最高裁で争われますが、上告しない場合や、最高裁でも高裁判決が支持さる場合には、地裁で実体審理が行われる見通しです。国道交通省の担当者は「判決内容を十分に精査し関係省庁と協議の上、適切に対応していきたい」としています。