「政権交代をのぞむ」声が48%に 立憲は“立党時”の水準に回復

前回に引き続き「自公政権の継続をのぞむ」か「立憲民主などによる政権交代をのぞむか」を聞いた。前回に比べ「無回答」が減った影響で、両方とも前回より増えているのだが、「政権交代」が前回調査より6ポイントあがって48%、「自公政権継続」が2ポイントあがって34%という結果となった。では政権交代の可能性は高まっているのか?

「俺が好きだった自民党はこうじゃない、自民党目覚めてくれって言う、自民党支持者の人が自民党を好きであるが故に変わって欲しいと願いを込めて入れるとこういうこと(政権交代)が起こる」

5月10日TBSのCS「国会トークフロントライン」に出演した自民党の石破茂元幹事長は政権交代についてこのように話し危機感を示した。
では自民党支持層に限って分析してみると、「自公政権継続をのぞむ」は前回調査より13.1ポイント上昇して77.8%、「政権交代をのぞむ」は0.8ポイント下落して13.5%だった。自民支持層の一定数が前回調査よりも「自公政権継続」をのぞむ意見に“回帰”したことが推測される。

一方、各党の支持層は以下の通り。

自民党は23.4%で民主党政権からの復帰後、最低の数字を更新した。この数字は自民党(麻生内閣)が下野する直前、2009年8月の23.8%と同水準だ。
一方、野党第1党の立憲民主党は前回調査から4.1ポイント上昇し、10.2%とおよそ6年ぶりに2桁台に戻した。立憲民主党が2017年に立党した直後の11月調査が11.0%だったので、その水準近くまで回復したことになる。

2009年の政権交代直前は自民、民主(当時)の支持率はほぼ拮抗、民主が自民支持率を追い越す月もあった。

現在は差が縮まってきているとはいえ、立憲と自民の支持率が10ポイント違う。有権者が立憲を中心とするいまの野党の政策で判断しているのか、裏金事件を受け「自民党にお灸を据えるため」一時的な受け皿になっているだけか、冷静に分析していきたい。

【質問項目と結果は以下の通り】
●岸田内閣の支持率は29.8%。前の調査より7.0ポイントの上昇。不支持率は67.9%で前の調査より7.1ポイント下落。

●政党支持率では自民党の支持が23.4%(1.6ポイント下落)。立憲民主党は10.2%(4.1ポイント上昇)。日本維新の会は4.6%(0.3ポイント上昇)。

●衆議院の3つの補欠選挙で自民3敗、立憲3勝の結果について「大いに納得」が27%、「ある程度納得」が52%、「あまり納得しない」が13%、「全く納得しない」が4%。

●政治資金規正法の自民党の改正案について「大いに評価」が5%、「ある程度評価」が21%、「あまり評価しない」が38%、「全く評価しない」が34%。

●日本国憲法を「改正すべき」が49%(前年同月比で+1)、「改正すべきではない」が35%(前年同月比で変化なし)。

●岸田総理にいつまで続けて欲しいかについて、「すぐに交代」が27%、「9月の総裁任期まで」が60%、「できるだけ長く」が9%。

●衆議院の解散時期について、「なるべく早く」が22%、「9月の総裁選より前」が28%、「9月の総裁選より後」が22%、「来年の任期満了まで行う必要はない」が23%。

●次の衆院選で「自公政権の継続をのぞむ」が34%(前回調査比+2)、「立憲などによる政権交代のぞむ」が48%(前回調査比+6)。

●自民党の中で次の総理にふさわしい人は(あいうえお順、敬称略)「石破茂」24.2%、「加藤勝信」1.4%、「上川陽子」7.8%、「岸田文雄」4.5%、「小泉進次郎」14.1%、「河野太郎」8.4%、「菅義偉」7.0%、「高市早苗」6.1%、「野田聖子」1.8%、「林芳正」0.9%、「茂木敏充」0.3%、「その他の議員」8.2%。

【調査方法】
JNNではコンピュータで無作為に数字を組み合わせ、固定電話と携帯電話両方をかけて行う「RDD方式」を採用しています。
5月4日(土)、5日(日)に全国18歳以上の男女2143人〔固定850人、携帯1293人〕に調査を行い、そのうち47.3%にあたる1013人から有効な回答を得ました。その内訳は固定電話508人、携帯505人でした。

インターネットによる調査は、「その分野に関心がある人」が多く回答する傾向があるため、調査結果には偏りが生じます。
より「有権者の縮図」に近づけるためにもJNNでは電話による調査を実施しています。無作為に選んだ方々に対し、機械による自動音声で調査を行うのではなく、調査員が直接聞き取りを行っています。固定電話も年齢層が偏らないよう、お住まいの方から乱数で指定させて頂いたお一人を選んで、質問させて頂いています。

TBS政治部 世論調査担当デスク 室井祐作