実は2015年に開かれた新潟水俣病の式典の際にも、当時の望月環境大臣と新潟県内の関係者の懇談の場が設けられましたが、この時も環境省側は、予定の時刻を過ぎると懇談を打ち切ろうとしていました。

「本当に解決しようという気があるのか!」
「50年待っているんです。それを5分過ぎたからといってね、打ち切るというのはおかしい」
「次の予定がございますので、ご了承・ご理解いただければと思います」
「きょうのような返事では、全くこの問題を解決しようという気は、さらさら見えない ―」
このとき以来、環境大臣と新潟県内関係者との懇談は行われていません。

【新潟水俣病阿賀野患者会 曽我浩会長代行】
「新潟では意見を述べる場さえ与えられていません」
「熊本と新潟は同じ患者が沢山いますので、懇談の対応をしていただきたい」
10日に会見を開いた新潟水俣病関係者団体のメンバーは、5月末に予定されている新潟水俣病の式典への、伊藤大臣の出席と懇談会の開催を求め、新潟県に要望書を提出しました。
しかし、この要請の2時間半前に伊藤大臣は、自らはこの式典に出席せず、代わりとして国定勇人環境政務官を派遣する方針を明らかにしています。
【環境省 伊藤信太郎大臣】
「地域は違いますけども、“水俣”ということで、熊本と同じく重要な問題だと考えております」
「地元の声を丁寧に聞いていただく。そして私自身は国定政務官からしっかり報告を受けたいと考えております」

果たして、伊藤信太郎環境大臣が直接、新潟水俣病の患者や被害者らの声を聞く機会はくるのでしょうか?
【新潟水俣病被害者の会 小武節子会長】
「今年こそはぜひ、新潟にも来て患者さんの訴えを聞いてもらいたい」
【新潟水俣病阿賀野患者会 酢山省三事務局長】
「当事者の痛み、被害の実態、そのことに注目しないで、終わったかのごとく『歴史と教訓』ということにはならない」