世界で注目を集める昆虫食、実は国内でも需要が高まりつつあります。
例えばこちらの沖縄が誇る特産品「黒糖」。実はこれ、お馴染みの黒糖とは少し違うんです!

琉球黒糖 金城幸英さん
「こちらがコオロギの粉末になりますね。黒糖全体がだいたい30キロだとすると300グラムです。コオロギの粉末は全体の1%ですね!」
いま世界で注目を浴びている昆虫食とのコラボ商品「コオロギ黒糖」誕生のきっかけは、新型コロナウイルスでした。

琉球黒糖 金城幸英さん
「黒糖自体が製造に対して余っているというのが現状になっていて、何とかしたいということを取引先からお聞きして、それでインパクトのある商品を作りたいということがあって私のほうに相談いただいて」

製造を行うのは、糸満市西崎にある琉球黒糖。1番人気のチョコっとうをはじめミント黒糖や塩黒糖などおよそ100種類の商品を展開しています。

黒糖づくりはスピードが命。窯で煮詰めること20分、沸騰すると糖蜜を鍋に移しかえて、空気を入れながらしっかりと混ぜます。ここからが職人の腕の見せどころ!黒糖が固まらないうちに素早くカットして冷ましていきます。

通常の黒糖となんら変わりはないように見えますが、製造過程でひとつだけ困ったことがあるそうで。
琉球黒糖 金城幸英さん
「(加熱すると)独特な風味があるということで、製造する側は少しそういった作る過程で臭いが工場の中で充満してしまうんじゃないかという部分が不安だったと聞いています。」
こうして苦労を重ね完成したコオロギ黒糖。国内ではまだあまり馴染みのない昆虫食ですが、懸念点はなかったのでしょうか?
琉球黒糖 金城幸英さん
「やはり虫っていうことで、ちょっと抵抗はあったんですけども、日本でも話題になってきているので、そういった形でのニッチな部分でのニーズはあるのかなと」
国内でも需要が高まりつつある昆虫食。実は多くの可能性を秘めているんです!
琉球黒糖 金城幸英さん
「一般的な家畜と比べると、餌や水分が少なくすてむという部分と、育成するための土地が少なくてすむ、それを踏まえることで、温室効果ガスとか二酸化炭素などの部分で環境に良いんじゃないかとも言われています。」

食用コオロギの研究などを行うグリラスによると、畜産物の体重を1キロ増加させるために必要な水資源は、牛が22000リットル、豚が3500リットルに対しコオロギはたったの4リットル。

さらに体重あたりの温室効果ガスの排出量はコオロギが100gに対し、豚はその11倍となる1100g、牛はなんと28倍にもなっています。
また昆虫食は環境負荷が低いだけではなく、たんぱく源が豊富なのも特徴です。
琉球黒糖 金城幸英さん
「タンパク質は肉の3倍から4倍ぐらい、一般的な牛肉に比べると、同じ分量ですと、3倍から4倍ぐらいあるということもわかっているので、プロテインの変わりとして使われる方も増えてきていると聞きました」
こうした環境にやさしい資源を活用する取り組みは、気候変動の災害に対する適応能力を向上させ持続可能な食料生産システムなどを確保するというSDGsの目標につながっています。
琉球黒糖が目指す持続可能な未来とは?

琉球黒糖 金城幸英さん
「まず商品を手に取っていただくっていうのが大事なのかなと思っていますので、そういった部分で工夫しながら商品開発も行っています。黒糖を使って沖縄の伝統菓子であったり、全国的な商品に携われたらなと思っています。」
県産品に新たな活路を与える昆虫食。今後のさらなる発展に期待ができそうです。