世界遺産の中でも人気のあるナスカの地上絵。正式には「ナスカとパルパの地上絵」といって、ペルーのナスカ台地とパルパ地域の大地に描かれた数々の絵です。近年では、日本の山形大学の研究チームが新たな地上絵をたくさん発見して、ニュースにもなっています。番組「世界遺産」では滅多に許可が出ないドローンを使って、有名な地上絵や新発見の地上絵をいろいろと撮影しました。
“不思議な愛嬌”人の姿のような地上絵

おなじみの「ハチドリの地上絵」もドローンを使って撮影すると、人との大きさの対比がしやすく、全長約95メートルという巨大さがよく分かりました。ナスカの地上絵というと、こうした鳥やサル、クモなどの生物がモチーフのものがよく知られていますが、実は人の姿のようなものもあります。

たとえばパルパ地域で見つかった地上絵。頭飾りをつけた神官たちとも、聖なる世界の存在を描いたものとも言われています。丸い目に丸い口…不思議な愛嬌があります。

山形大学が発見した地上絵の中にも、おかっぱ頭みたいなカワイイ感じの人らしき絵もありました。しかし、中には不気味なものもあるのです。

直立して、笑みを浮かべた人物のように見える地上絵。上には、人の頭らしきものが三つ。足元にも二つ描かれています。実は「首切りの儀式」を描いたものではないかと言われています。
雨乞いのため「首切りの儀式」か 遺跡からは人の頭部のミイラ発見

ナスカには、地上絵だけではなく、同じ頃に築かれた神殿などの古代遺跡もあります。

その遺跡から人の頭部のミイラがいくつも見つかっていて、神に捧げる首切りの儀式が行われていたと考えられているのです。山形大学が新たに発見した地上絵の中にも、人の首を持つ人物の姿を描いたものがありました。

一見カワイイけれど実は不気味な地上絵…首切りの儀式は、雨乞いのために行われたと考えられています。ナスカは極端に雨が少なく、そのために雨乞いが行われました。その儀式の様子を大地にも描いたと思われます。

ちなみに、約2000年も前に描かれた地上絵が今も残っているのは、雨が少ないことに加え、水が流れたり、自然の影響で壊されたりしない場所に描かれたためとされています。
このように素朴な絵が、実は深い意味をもっている…そんな例は他の世界遺産にもあります。