核軍縮への道筋について話し合うNPT=核拡散防止条約再検討会議が、1日、ニューヨーク国連本部で開幕し、日本の首相として初めて出席した岸田総理が「長崎を最後の被爆地にしなければならない」と訴えました。

NPT=核拡散防止条約の再検討会議は、核軍縮や核の不拡散などについて議論するため、5年に1度開かれているもので、1日に開幕し、今月26日まで行われます。

(国連・グテーレス事務総長)
「人類は広島と長崎の恐ろしい炎から得た教訓を忘れつつある」
会議冒頭、グテーレス事務総長は、ロシアによるウクライナ侵攻や北朝鮮の核開発を念頭に「核の脅威は冷戦のピーク並みだ」と指摘。各国に核廃絶に向けた取り組みを求めました。
日本の総理として初めて会議に出席した岸田総理は赤い折り鶴を手に演説し、ロシアが核兵器による威嚇を行っている今こそNPT体制の強化が重要だと訴えました。

(岸田総理)
「『核兵器のない世界』への道のりは一層厳しくなっていると言わざるを得ません。しかし諦めるわけにはいきません」
岸田総理は理想と現実を結び付けるロードマップとして「ヒロシマ・アクション・プラン」を示し、核保有国に対し核物質の情報開示を求めるなど、核戦力の透明化を求めていく他、世界の若者を広島、長崎に招き被爆の実相に触れてもらうため1,000万ドルを拠出し、新たな基金を創設すると発表しました。
また核兵器不使用の継続の重要性を訴え、長崎を最後の被爆地にしなければならないと演説しました。
(岸田総理)
「長崎を最後の被爆地にしなければなりません」

岸田総理の演説に対し、長崎原爆遺族会の本田 魂 会長は出席したことを評価した上で、「本心から言っている言葉なら、今後、具体性を持って核廃絶に取り組んでほしい」と話しています。
一方、ロシアのプーチン大統領は再検討会議の開幕によせて「核戦争に勝者はいない」、ロシアはNPT締約国として「一貫して条約とその精神を守ってきた」とするメッセージを送っています。