円安進む日本経済 インバウンド頼みで日本が“召使階級”に?

小川彩佳キャスター:
この円安の根本的な解決を望む、というのは難しいという状況ですが、円安がここまで進むとは想像されてましたか。

東京大学准教授 斎藤幸平さん:
してなかったので、私も明後日からアメリカ出張なので困ってます。今は金利も上げられないし、解決策がなかなか思いつきませんが、そういう意味でも「アベノミクスのツケ」が出てきてるな、と思います。

こうやって円安が進むと、一部の大企業は儲かるかもしれませんが、中小企業や普通に働いてる方たちの生活が苦しくなり、格差は拡大していく。円安の「安い日本」で、国内で儲けようとすると結局、インバウンド頼みになってしまっていますよね。

だけど庶民の人たちは、インバウンドの人たちが受けている高いレストランやホテルなどのサービスを自分たちでは消費できないので、いわば“召使階級”として外国人に仕えていく、みたいな社会に。ますます衰退していくことになるのではないか危惧しています。

青木さやかさん:
ついこの前まで「日本は世界のトップを走ってた」みたいな感覚がありますが、全然変わってきたんだな、と思います。生活の中でも好きなパンの値段が倍ぐらいになってるな、という印象があり、どんどん贅沢品になっていく。海外旅行は「お金があるんだな、いいな」という感覚で見るようになってしまいましたね。

小川キャスター:
本当に「そろそろしんどいな」という感覚はありますが、この円安は耐えるしかないのでしょうか。

片山記者:
残念ながら「耐えるしかない」ところはあります。しかし、いくつかできることがあって、「生活が苦しい、というのはちゃんと訴える」というのは一つ大事なことだと思います。

もう一つ、この円安の影で必ず儲かってる企業があります。大体日本企業は1ドル140円ぐらいを想定して、いろんな計画を立てます。1ドル155円になるということは、おそらく1割ほど想定以上に、何かのときに儲かってるはずなので、そこに「きちんと賃上げをしてほしい」とか、「取引価格を適正化して欲しい」ときちんと言った方がいいし、我々もチェックした方がいいのではないかと思います。

小川キャスター:
そして大企業にとどまらない賃上げに繋げていかなければなりません。