「弟のせいでいじめに でもそれが当たり前と思っていた」

小川洋子さん(左)と弟(右)2009年撮影

福岡市に住む会社員の小川洋子さん(54)には軽度の知的障がいがある2歳違いの弟がいる。1980年代、特別支援学級を併設している公立学校は少なかったが、小川さんが育った神戸市の学校は当時制度が充実していて、弟と同じ学校に通わざるを得なかった。「通った」ではなく、洋子さんは「通わざるを得なかった」と話した。

弟には多動傾向があり、友達を叩き暴言を吐く。その仕返しは、全て姉の洋子さんに向かっていたという。

小川洋子さん(54)「社宅でいじめられてケガをしたこともあります。とにかく小学校の時の思い出っていい思い出がほとんどないんです」

いじめのことを母に告げたことは一度もない。

小川洋子さん(54)「自分の目の前にいる家族しか知らないので、これが当たり前なんですね。『周りのきょうだいと自分たちが違う』と初めて自覚したのは小学校の中学年と遅かったんですけど、当時から母は弟にかまいっ切り。私には二言目には『お姉ちゃんだからしっかりしなさい』『弟にやさしくしなさい』でした。でも、それが当たり前だと思って育ってきたから、自分でも何に困っているか分からない、それが小さい頃の私です。」