海外では「つながらない権利」が法制化…あなたは主張できる?

小川キャスター:
今やSNSでつながることが、どこでもいつでも当たり前になっている。そうしたなかで起きているこの問題ですけれども、海外では、逆に「つながらない権利」というのが注目されているようです。

2月にオーストラリアではつながらない権利を法制化して、勤務時間外に雇用者が労働者に連絡することを原則禁止としました。実は2017年に、すでにフランスやイタリアでは法制化されています。どちらもバカンスを大事にする国ですよね。

このつながらない権利について、街の方はどのように感じているのか聞きました。

工場勤務(40代)
「全然ありだなって思いますね。そういう風に決めてもらった方が、働く側としては楽かなって思いますけど」

不動産業(25歳)
「仕事の電話だったら(営業時間外でも)しょうがないなと思うので。それが自分の案件で、自分の数字に関わるならしょうがないなと思うんですけど」

人の命に関わる現場で働く人は…

看護師2人組(20代)
Q.つながらない権利主張できますか
「いや、できないよね」
「できない。命にかかわることなのに、言っていいのか分からないです。『つながらなくてもいい』と言われても、自分だったら後悔もしたくないだろうし、(電話を)取ると思います」

藤森キャスター:
これも職場環境、立場、業界、さまざまでしょうね。日本でも、すでにつながらない制度を導入した企業があり、取材しました。

設備工事会社「オーテック」の取り組みでは、たとえば平日に休みを取っている社員のもとに取引先から電話が入ってきた場合に、本人ではなくて会社に自動転送されるそうです。出社している他の社員が対応するようにしていると。

担当者の白石課長に聞くと「社員から『携帯電話に取引先から電話が入り休んだ気にならない』という声があったので、こういうルールを取り入れた」ということです。

導入して5か月、社員の皆さんからは「以前は社用携帯に3回くらい電話がきていた。こまめにチェックしていたが、今はほとんど気にしていない」(山根さん・30代)、「ゆっくりと休日を過ごせるようになった」(天野さん・20代)と好評だそうです。

小川キャスター:
休まないと、仕事への意欲というのはなかなか湧いてこないところもありますし、こうしたシステム化をすることによって、今まで非効率だった部分が効率化するところもいいですよね。

ジャーナリスト 浜田敬子氏:
私、反省がありまして。「AERA」の編集長時代に土日もずっと企画を考えていて、いい企画を思いつくと、メールとかしちゃっていたんですね。月曜日の朝に伝えるのを忘れちゃうんじゃないかと思って、みんなにすぐ「月曜日これやろうね」って。

そうしたらある時、編集部員から「休日にSlackを送らないでください」と言われて、そこから送らないのをルール化しました。

今、予約機能ってあるんですよね。私は思いついたときに全部Slackを送っておくんだけれど、月曜日の朝8時に一斉に送信するみたいな。そういう機能もあるので、使おうかなと思って反省をしたことがあります。

影山知明さん:
つながらない権利、いいですよね。僕も仕事柄というのもあって、休日はほとんどないんですけど、あまり意識せずにこられたのは、電話も出ないし、メールやチャットも返信しないんですね。

だから、電話に出なきゃいけないし、すぐ返事しなきゃいけないという風になっていることが、ちょっとおかしいというか。リアルタイムにコミュニケーションを取らなきゃいけない仕事の前提が、見直されるといいのかなとは思いました。

藤森キャスター:
ついつい、コロナ禍でコミュニケーションをもっと深めようとか、ちょっとしたことを伝えたいと思って休日でもうっかり短く送っちゃったりして「あ…」って。

ジャーナリスト 浜田敬子氏:
返事は求めていないんですけれどね、こっちは。でもそれが、受け手からするとすごいプレッシャーと。

藤森キャスター:
はい、返信は不要です。

小川キャスター:
気をつけていきましょう。