インターハイで日本一を目指す3年の並里高仙と赤木力樹。大きな目標に向かって、糸満高校で練習に励んでいます。

でもある日、”校長”は気づいてしまいました。

糸満高校・照屋智康監督
「”あの子はうちの子じゃないのよね”と、校長!お目が高い、違うんです(笑)
っていうところから始まって」



実は並里は沖縄水産、赤木は興南高校の3年生ですが、ウエイトの指導は糸満高校が担っています。

糸満高校 上原源三校長
Q赤木君や並里君の活躍は?
「もうとっても嬉しいです」
Q学校が違うとか関係ない?
「全く関係ない、全く。応援にも行くんですけど、頑張れって」

沖縄水産 並里選手
「(校長の言葉が)とても嬉しいです。いつもここを通ったら挨拶をするんですけど笑顔で返してくれて、とっても優しいです。校長先生」


学校の枠を超えて生徒が希望する競技の指導を行う、そこには新しい部活動の形がありました。

5月の県総体、81キロ級のスナッチとトータルで県高校記録を更新した興南3年の赤木と96キロ級のスナッチとクリーン&ジャーク、大会新記録を樹立した沖水3年の並里。

普段赤木は興南高校の特進クラスに通い、久高島出身の並里は将来海の仕事に就くことを目指して沖水に入学しました。

でも今はそれ以上に”ウエイトリフティング”が大好きです。

沖縄水産 並里選手
「楽しいです。自分が練習した分だけ記録が伸びるというか、そういうところが楽しいです」

興南高校 赤木選手
「スクワットは練習の中で一番好きなので。これだけの重量が持てているんだって、そこに伸ばしたい欲が出てくるので」

しかしそれぞれの学校ではウエイトリフティングができない事情がありました。



糸満高校 照屋監督
「興南高校には全く指導できる方もおられないですし、実は沖水には糸満ウエイト部のOBの先生がいて、かれは”バスケット部の顧問を兼任”しているんですよ。特殊な競技ですし、大けがに直結する競技でもあるので、これはずっと見ないとまずいなと思って」

そこには部活動が抱えるある課題がありました。糸満高校の上原校長は現状をこう語ります。

糸満高校 上原源三校長
「非常に悩ましいのが、先生たちの負担が大きいと感じています。特に専門外の先生方が部活を見るのが負担だと思っています。先生方や子どもたちの思い、そういったところのバランスが難しいところがあります」

多くの学校が抱える教員の働き方と部活動という課題。そこで糸満の照屋監督が提案したのが”学校の枠組みにとらわれない指導”です。

糸満高校 照屋監督
「本当にやりたくて頑張っている子、場所がない環境が整わないときには、しっかりしたところでやる」

沖縄水産 並里選手
「1年生か(部員が)一人になったときに、照屋先生がもしお前が来られるなら来ていいよと言ってもらって」


個人競技は、場所と専門の指導者がいれば、他の学校の生徒も多少の受け入れが可能です。心配は、他校で練習しているときのけがのリスクでしたが、両校の管理職が連携し、糸満高校での活動でもけがをしたときの給付制度を適応できるようにしました。

糸満高校 照屋監督
「テストケースじゃないけど、小さい所帯なので、こういうやり方もあるよとは言えるのかな」

沖縄水産 並里選手
「本当にありがたい、感謝しかない、一人だったらモチベーションが上がらないし、フォームがおかしくなっても指摘してくれる人もいないというか」

興南高校 赤木選手
「みんな一緒でやるので気持ちが上がる。的確なアドバイスを毎回くれるので、そこは本当にありがたくて」

生徒のニーズに柔軟に対応しすそ野を広げる沖縄ウエイトリフティング界。それは、糸満の選手にも刺激にもなっています。


糸満高校 造倉翼選手
「いつも記録が競っているので抜いたり抜かされたりって感じでずっとライバルみたいな感じです。つらい時も一人でできなくても、一緒だといけるとこともある」

並里選手
「全国選抜で2位だったのでそのリベンジ、するためにインターハイも頑張りたいと思います」

赤木選手
「インターハイでは優勝を目指して練習頑張っていきたいと思います」

大好きな競技で日本一をめざす周囲の支えもちからに高校最後の夏の勝負に挑みます。