映画が公開された1916年当時の大正日本

公開は1916年(大正5年)。日本史の年表にはこんな項目が並びます。

・大陸浪人福田和五郎らが、排袁世凱運動を要求して、大隈重信首相に缶詰入りの爆弾を投げつけるが、不発(1月12日)
・日本で最初の女性大学生、黒田チカが東北帝国大を卒業し理学士に(7月17日)
・工場法が施行され、職工15人以上の工場では12歳未満の就業が禁止され、15歳未満と女子は12時間労働制に(9月1日)
・裕仁(後の昭和天皇)の立太子礼挙行(11月3日)
・アナキスト大杉栄が伊藤野枝との三角関係から、葉山の日陰茶屋で新聞記者
の神近市子に刺される(11月9日)

「軍艦島」として知られる長崎県端島

この年、三菱鉱業が長崎県端島に7階建ての炭鉱住宅を建設します。これは日本初の鉄筋コンクリート造アパートで、端島は後に「軍艦島」と呼ばれるようになります。雑誌「婦人公論」や、「信濃日日新聞」が創刊されています。大正デモクラシーの理論的支柱・吉野作造は論文「憲政の本義を説いて其有終の美を済すの途を論ず」を発表しています。この年に生まれた人に、小林正樹(映画監督)、五味川純平(作家)がいます。