カギ握る「ヘイリー票」の行方 得票率から見える トランプ氏の"弱点"
ヘイリー氏はスーパーチューズデーの翌朝、ついに選挙戦からの撤退を表明した。しかし、そこでヘイリー氏はトランプ氏を支持するとは明言せず、反トランプ層を取り込めるかは「今後のトランプ氏自身にかかっている」と訴えた。

“圧勝”とスーパーチューズデーの結果は伝えられるが、結果からはトランプ氏の弱点も見えてくる。
リアルクリアポリティックスによると、全米におけるトランプ氏とヘイリー氏の直前の支持率は、トランプ氏78.4%対ヘイリー氏15.0%だった。実際にスーパーチューズデーでもテキサス州やオクラホマ州などは全米支持率に近い得票率でトランプ氏が勝った。数字ではトランプ氏が圧倒しているのだが、問題はヘイリー氏に票を投じた共和党内の「反トランプ層」が大統領選挙でどう動くのか、という点にある。
たとえばノースカロライナ州の予備選挙の得票率はトランプ氏が73.9%、ヘイリー氏が23.3%と全米平均よりもヘイリー氏がやや頑張った結果になった。そして、ヘイリー氏が獲得した23%の票というのは、実は大きな意味を持つ。
「スウィングステート」の1つとも言われるノースカロライナ州は、4年前の大統領選挙でトランプ氏が約7万票、得票率では1.3%という僅差でバイデン氏に勝った州だ。今回ヘイリー氏に票を投じた23%の人を、大統領選挙で取り込むことができるのかというのがトランプ氏の課題だ。この課題をクリアできないと、今年の選挙では同州でバイデン氏に敗れる可能性もある。そのバイデン氏は声明で「ヘイリー氏の支持者たちの居場所は私の選挙活動のなかにある」と自身の支持にまわるように訴えていて、早速「ヘイリー票」の取り込みに躍起になっている。
比較的都市部に近いバージニア州でヘイリー氏が3割以上の票を得ていたように、共和党内の「反トランプ層」は一定数存在する。だからこそ、「ヘイリー票」の確保のためにもトランプ氏は演説で「団結」に言及する必要があった。
バイデン氏の苦難 アラブ系住民に突きつけられた「ノー」
一方、「高齢問題」が国民に深刻視されるなどバイデン大統領の状況は4年前よりも不利な状況だ。今月2日ニューヨークタイムズが発表した世論調査では、バイデン氏43%対トランプ氏48%とトランプ氏の優勢が伝えられた。プラスになる材料が乏しいバイデン氏にとっては厳しい戦いになることが予想される。

そして、いま最もバイデン氏を悩ませているのが「ガザ情勢」だ。強硬姿勢のイスラエルのネタニヤフ首相に自制を求めても説得は聞き入れられず、バイデン氏の中東政策についてアラブ系住民からノーを突きつけられている。














