きょうは「国際女性デー」です。女性学研究の第一人者、上野千鶴子さんの本が中国で今、ブームとなっています。その背景にあるものとは?
中国のSNSにアップされた動画。女性たちの疑問に次々と答えているのは社会学者で東大名誉教授の上野千鶴子さんです。
中国語に翻訳された著書は20冊以上。すでに130万冊以上売れていて、20代から30代の女性を中心に熱心な読者を獲得しています。上野さんの本を出版した編集者の于北さん(31)。支持を集めた理由についてこう説明します。
編集者 于北さん
「『上野先生は私の代弁者』だと思う人が多いのです。自分の心の中を上野先生が代わりに表現してくれる。そして彼女の視点は鋭く、ずばりと言い当てている。多くの読者の悩みが上野先生の一言で雲が晴れ、光が見えてくるように感じるのです」
上野千鶴子さん(2019年)
「大学に入る時点で、すでに隠れた性差別は始まっています」
中国で広く知られるようになったきっかけは上野さんが東京大学で行ったスピーチ。これが中国語に翻訳され、共感を呼んだのです。
SNSのコメント
「上野さんの授業を受けたい」
「聞いてとても感激して震えてきました」
かつて中国建国の父・毛沢東は「女性が天の半分を支える」と述べ、建前上は男女平等を推し進めました。
しかし、見ての通り、中国共産党の指導部は男性ばかり。男女平等や多様性とは程遠い姿が中国でも広がっています。
ちなみに男女の格差を示すジェンダーギャップ指数で中国は107位。日本は125位です。
市民運動が厳しく制限されている中国では、ジェンダー平等に向けた市民の取り組みは、まだ始まったばかり。中国での人気について当の上野さんは次のようにコメントしています。
上野千鶴子 東大名誉教授(朝日新聞2023年10月11日)
「中国6000年の家父長制は革命後の半世紀ほどでなくなったりはしない。中国のフェミニストたちは集会もアクションも難しい状況に置かれているという。私の著作はそういう彼女たちの経験に言語を与えたのだろうか。それならうれしい」
ーーーーーーーーーーー
「承諾番号24-0531」
朝日新聞社に無断で転載することを禁じる
注目の記事
「ごめんね」自らの手でロープをかけ…アルコール性認知症の息子(当時55)に絶望し 殺人の罪に問われた母親(80)が法廷で語ったこととは

「ただただ怖くて…家にいられない…」地震で“恐怖の場”となってしまった自宅 壁は大きく裂け鉄骨は曲がり… 今も続く不安を抱えながらの生活【最大震度6強 青森県東方沖地震 被災地のリアル①・前編】

愛媛県民は「を」を「WO」と発音? 47都道府県調査で見えた驚きの「常識」

「米はあるのに、なぜ高い?」業者の倉庫に眠る新米 品薄への恐怖が招いた“集荷競争”が「高止まり続く要因に」

大阪王将 ドーナツ業界に進出「ぎょーナツ」餃子味、麻婆豆腐味って? 異業種が参入するワケ【Nスタ解説】

1枚500円なのに交換は440円分…農水大臣が「おこめ券」にこだわる理由、百貨店商品券との違い【Nスタ解説】












