「民主主義ではない」マオリが見た沖縄の現状
滞在2日目、平和祈念公園を訪れた一行。79年前、この地が戦場だったことに初めて触れ、沖縄の若者から戦争について学びました。
20万人あまりが犠牲になった沖縄戦。およそ12万人の県出身者が犠牲になりました。自ら命を絶つことを強いられ、ウチナーグチを話すとスパイとみなされ、殺された人もいました。

マオリのジェームズさん
「本当に悲しかったです。なぜなら私たちはマオリですが、英語で話すよう強要されてきました。撃たれはしませんでしたが、でもその苦しみはすごく理解できます。沖縄は沖縄の言葉を話せず苦しんだし、マオリはマオリの言葉を話せず苦しみました」
マオリのタイラーさん
「植民地主義とはどういうことか、沖縄戦の場合、犠牲になったのは沖縄の人たちで、激しい暴力に民間の人たちがさらされたということだと思う」

沖縄の歴史とマオリの歩みを重ね、思いを寄せるメンバーたち。自然や文化に触れながら向かった先は、アメリカ軍普天間基地の移設先、名護市の大浦湾でした。
出港から間もなく、希少なサンゴが生息する海域に到着。グラスボートから海中を覗くと世界最大級のアオサンゴをはじめ、500年かけて成長したとされるコブハマサンゴなど、そこには多種多様な生き物たちが生息しています。
移設工事のため、国がサンゴを別の場所に移植したという話を耳にすると、驚きの声があがりました。
ジェームズさん
「ニュージーランドだったらこういう場所を自然保護区にして、海の生き物を絶対にとってはいけない、採取を禁止するといった保全策をとると思う。ここはそういう場所には指定されていないんですか?」
まなざしの先には、無数の作業船。埋め立て反対の民意をよそに、工事が続く現状を目の当たりにすると―

ファカロンゴタイさん
「民主主義ではない。間違いなく、私たちは似たような問題を抱えています。私たちも闘ってきたからあなたたちの悲しみ・不満・怒りを共感できます。だけど沖縄の問題は、アメリカ軍が関わっているからより複雑だと思います」
「沖縄とマオリが手を取り合うことは始まっている」
マオリが捉えた沖縄の歴史と現状。歩んできた道に重なる点があるからこそ、沖縄の人達に深く共感しています。
ファカロンゴタイさん
「友達とも話してたけど沖縄とマオリが手を取り合う、それはもう始まっていると思います」

タイラーさん
「ニュージーランドでマオリが経験した戦いの歴史と沖縄の歴史は似ている。帰国したら、私たちに通する問題について話していきたい」
1週間の滞在で沖縄とのつながりを築いたマオリ。遠く離れたニュージーランドから、沖縄へ思いを寄せ続けます。