日本国民の5人に1人が75歳以上の後期高齢者になるという、いわゆる『2025年問題』が間近に迫っています。

超高齢化社会が避けられない中、地域の困り事を解決する「御用聞き」を行う人がいました。

新潟県柏崎市で介護タクシーの仕事をしている、小池勝己さん(62歳)です。
その仕事の相棒は、ひときわ目を引く黄色い車体です。

午前8時半。
この日も朝から利用者のもとへ向かいます。
そんな小池さんの仕事に密着しました。

小池さんは、タクシーの二種免許やヘルパーの資格を取得して、2018年に『柏崎ポーターズ』の事業を始めました。
車椅子を備えたタクシーで病院や作業所などを中心に利用者を送迎します。
1日に10~15件ほどの予約が入っていて、地域の足として活躍しています。

【柏崎ポーターズ 小池勝己さん】
「家族と離れて暮らしている高齢の人、障害者、もしくは家族が仕事に行っている時間帯で一人になっている方、などがお客さんに多い」

目的地まで車で「移動」するだけではなく、車いすへの乗り降りなど、利用者の「介助」も行うのが介護タクシーの仕事の特徴です。

この日小池さんが訪れたこちらのお宅には、80代の利用者が待っていました。

実は、こちらのお宅と小池さんの間には、忘れられない出来事が…。
1年ほど前に、皮膚科を受診しようと小池さんのタクシーを依頼したときのこと。

「皮膚科に行く途中だったんですけど、急に母がおう吐してパニックに…」
「『これは救急車で運んだほうが』と説明して、救急隊を私が要請して…」
「― 小池さんに教えてもらって運んでもらって」

37年間消防署で働き、2017年に退職したという小池さん。
そのうちの18年は“救急救命士”として現場の最前線で活動していたそうで、そこで身に着けた専門的な知識が今の仕事に生きているといいます。