政府が台湾・半導体大手に1.2兆円支援 どう見る?

藤森祥平キャスター:
日本の政府が投資する1兆2000億円という巨額な数字ですが、これは半導体が他よりも何よりも“最重要資源”であると位置づけているからです。石油と同じ“戦略物資”と捉え「半導体を制したものが世界を制す」という考え方です。
元東芝の東京大学大学院教授の黒田忠広氏は「石油でオイルショックが起きたように、半導体も自国に工場がないと経済が麻痺する」といいます。

今、世界が半導体に力を入れています。アメリカでは5年間で約6.8兆円、中国は10兆円、日本が3年間で約4兆円ということです。
小川彩佳キャスター:
各国の力の入れようを感じますよね。

薄井シンシアさん:
半導体って、エネルギーと水と同じぐらいの資源として考えるべきなんですね。特にこれからはAIの時代だから、ますます半導体の重要性が出てきますし、今の私達の文明社会は、半導体がないとうまく機能しないんですね。
あとは、国の防衛として考えても、国内に工場を置かないとコロナみたいにサプライサイド(供給側)の問題が出てくると、すぐ手に届くものにしてほしいんですね。確かに巨額で少子化対策と同じぐらいの額になりますが、少子化対策と同じぐらい重要な課題なんですね。
藤森キャスター:
そうした巨額の支援であるからこそ、アメリカでは補助に関してのルールがあります。

補助を受けた企業が想定していた以上の利益を上げた場合は、一部を政府に返還するということです。
小川キャスター:
民間企業に巨額の補助が行われるわけですから、投資効果の検証・説明をしっかりしていただきたいですよね。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩氏:
補助金について2点お話したいんですけど、一つは半導体の巨大な工場ができることによって、利益を受ける人がいっぱいいるんですね。特に、自動車産業は非常に半導体を多く手に入れられますからね。だから、自動車産業の儲けの一部を少し還元してもらって、それを補助金にあてるということが一つ考えられることだと思います。
もう一つは、数年前にTSMCを誘致するときに日本政府の高官が言ってたんですけど、当時、日本と韓国の関係があまり良くなかったんですね。本来ならTSMCと韓国のサムスンの両方が出てきて、その2つを競わせて補助金を値切るということもできたんです。
しかし、サムスンが出てこず、TSMCだけの1択になってしまったものですから、補助金を高くせざるを得ないということになってしまったんですね。そういう点で、外交と産業政策が、いかに密接にリンクしてるかということの表れだと思います。