「輪島塗」に魅せられ20歳の時に現地へ

稲沢市にある今瀬さんの実家近くの作業場です。他の職人たちの中には避難所生活が続いている人もいて、会社の急ぎの仕事を、今瀬さんはこの作業場で一人、サポートしているのです。

(今瀬さん)
「これは観葉植物のビニールシートで、応急的に。本当はビニールではない方がいいんですけど」

湿度調整は作る過程でとても大事なこと。代用品でなんとか部屋を整えました。

幼い頃から手先が器用でものづくりが好きだった今瀬さん。母親の営む飲食店で見た、輪島塗のつややかな質感に魅了されたといいます。

愛知の高校を卒業すると、輪島塗の職人を多く輩出してきた石川県立輪島漆芸技術研修所に進みました。

(今瀬さん)
「当時まだ20歳で、後先のこととか生活のこととか考えずに輪島に行って、漆が勉強したいというワクワクした気持ちが一番でしたね」

その後22歳で、下地を塗る職人として輪島塗の会社に就職。

(今瀬さん)
「木からだんだん完成していくまでの過程というか、最後に液体の漆を塗って、きれいになると嬉しいですし、やりがいを感じます」

「誰も輪島をあきらめていない…」

今回の販売会では、今瀬さんが働く会社「輪島キリモト」の商品も並びます。地震でわずかに傷がついたことで、正規には販売できないものが割安に。

(訪れた客)
「傷を見ると、みなさん大変な思いをされているので、少しでもお力になれればと思ってきょう購入させていただきました」

(訪れた客)
「(輪島塗が)なくなるのは惜しいというか、助けることができるといいなと思います」

このチャリティー販売会は、名古屋市西区の和食店「懐韻(なつね)」のギャラリーコーナーで3月31日まで。売り上げは全額、輪島市の職人のみなさんに届けられます。

(今瀬さん)
「私が1月末に輪島に行ったとき、誰も下を向いていなかった。輪島をあきらめていなかった。これまで以上に“新しい輪島”になるんじゃないかと思うので、応援してほしい」

【輪島漆芸作家 チャリティー展示・即売会】
 場所:名古屋市西区那古野1-2-11「懐韻(なつね)」ギャラリースペース
 期間:3月31日まで(午前11時半~午後5時 ※月・火・水は休み)