高齢化や労働条件などを背景に、タクシー業界はいま人手不足に頭を悩ませています。こうした中、22歳の若さでデビューした、新人ドライバーの奮闘を追いました。
22歳でタクシードライバーに
大分市の第一交通高松営業所で働く佐々木響さん。タクシードライバーとしては、めずらしい22歳という若さです。
(第一交通高松営業所・佐々木響さん)「もうほとんど慣れた。自分が思っていたよりは、楽しい仕事だと思う」

佐々木さんは去年7月に入社し、研修を経て12月末に実車デビュー。タクシードライバーになるために必要な第2種運転免許は、経験年数が短縮されたおととしの道交法の改正があり、入社後に取得しました。
(佐々木響さん)「運転は難しい、狭い道を進む時にぶつかるんじゃないかって。絶対に事故はおこせないので、最低限リスクを減らす運転をしている」
ドライバーが10年間で激減
タクシーをはじめとした運送・物流業界は今、「人手不足」が深刻化しています。県タクシー協会によりますと、県内のドライバーの数は2014年の2723人からこの10年の間におよそ1000人も減少。高齢化に加えてコロナ禍で利用者が減り、退職が進んだことが原因です。

佐々木さんがタクシードライバーを職に選んだのは、きっかけがありました。
すでにドライバーとして働いていた母の惠さん、姉の綾菜さんの存在が大きかったといいます。
(姉・綾菜さん)「わからないことがあったら、すぐ聞いてきてわからないままにしない」
(母・惠さん)「私よりも姉ちゃんにいつも電話して聴いてる気がする。すごく楽しい、何でも話せる」

「家族から学ぶことは多い」
乗客への対応や仕事への向き合い方など「家族から学ぶことは多い」と話す佐々木さん。その効果はすでに実車業務に表れているようです。この日、佐々木さんのタクシーを利用したのは北海道からの出張客です。佐々木さんが小さい時に北海道に行ったことを話すと会話がはずみ、軽快なトークで車内が盛り上がりました。持ち前の親しみやすさは母親譲りのようです。
これから業界の未来を背負って立つ、新人ドライバーに会社も期待を寄せています。
(第一交通高松営業所・井上幸一郎所長)「しっかりしていて、やる気も十分持って取り組んでいるので、若い人がタクシーの仕事を選んでくれるよう広告塔になってほしい」
待遇面も職場環境も満足していると話す佐々木さん。もっと若い人たちにドライバーの楽しさを知ってほしいと話します。
(第一交通高松営業所・佐々木響さん)「自分と同年代の人と一緒に働きたい思いもあるし、結構難しい仕事だが、楽しくて絶対やりがいがあるので、若いドライバーが増えたらいいなと思う」