ひょんなことから物流業界に携わり、荷物を「届けてほしい」と「届けてくれる」を直接つなぐ、マッチングプラットフォームを開発し、物流業界に変革をもたらした那覇市出身の男性がいます。創業から9年、順調に成長を続けるサービスの現在地、そして男性の目標を取材しました。

Q沖縄いつぶりですか
「沖縄…、半年ぶりくらいですかね、(東京で)慌ただしく過ごしていますね、沖縄で仕事が出来れば一番いいんでしょうけど」

那覇市出身の松本隆一さん、「荷物を届けてほしい」荷主と「届けてくれる」ドライバーを結びつける配送プラットフォーム、PickGoというサービスを手掛ける企業、CBcloudの代表です。

Q壁のデザインも印象的ですね
CBcloud 松本隆一代表
「そうですね、CBcloudという名前が積乱雲を示していて、積乱雲のように大きく急成長していきたいという思いで、社名がついているんですけども、そこに飛行機が飛び立っていくような形で壁紙を作っていますね」"

松本さんが手がけるPickGo。サービスの仕組みはこうです。
個人事業主のドライバーは、大手運送会社の下請け、孫請けとして配送を受託し、大型トラックが入り込めない小さな路地などへ小回りのきく軽貨物車で荷物を運びます。しかし仕事の依頼は不定期で突然やってくることもあるうえ、一度を断ると次からは声がかからなくなることも。さらに売り上げからは中間マージンが抜かれ、ドライバーの手元に残る利益はわずかとなってしまいます。

そこで荷物を「届けてほしい人」と「届けてくれる人」を直接、PickGoでマッチング。荷主が専用サイトから配送を依頼すると、登録しているドライバーに一斉に通知が届き、ドライバーはこの中から自分が請け負いたい依頼を選ぶことが出来ます。このような配送、宅配に加え、現在ではバイクや自転車によるフードデリバリーなど、事業を拡大、東京、大阪を中心に全国5万5000台以上が登録するまでに事業は成長しました。

成長著しい企業を牽引する松本さんですが、以前は全く違う業界で働いていました。

CBcloud 松本隆一代表
「元々、航空業界にいた人間なんですけど、物流領域でお仕事されている義理のお父様に出会ったことが大きなきっかけになります」

航空管制官として羽田空港に勤務していた松本さん。2013年に退職すると、他界した義理の父の運送業を継ぎ、配送ドライバーを経験。その後、CBcloudを設立しました。創業から9年、1人で始めた会社も、今では東京、大阪、名古屋、福岡に拠点を構え、140人以上の社員を抱えるまでに成長しました。また、故郷の沖縄にも顧客対応やドライバーをサポートする事業の中核となるオフィスを設けています。

CBcloud 松本隆一代表
「育てていただいた環境には恩返ししたいなという思いがものすごくありますし、あわせて沖縄の方々の成長意欲というかそういったところに貢献出来たらなという風には思っています」"

この日、松本さんの姿は、起業家たちが投資家などに対して、自社の技術やサービスをプレゼンする、いわゆるピッチイベントの会場にありました。

CBcloud 松本隆一代表
「(自分もこのような大会に)数回出させていただきましたけど僕自身が成長するところに対して、ご協力いただく方との出会いというのは大きかったかなと思います」

こうしたイベントで松本さんも自分たちのビジネススキームをアピールするなどし、投資会社などから資金を調達してきました。創業間もない頃からいち早く、松本さんの会社に投資をしてきたのが、㈱ANOBAKAの長野泰和社長です。

Q松本さんに投資しようと思ったきっかけは?
㈱ANOBAKAの長野泰和社長
物流の問題というのが顕在化しつつある中で、なんとかこれ解決できないものかなと個人的に思っていた中で、松本さんに会って、当時まだ社員2人くらいだったんですけど、この事業プランだったらそれが解決できるんじゃないかなという風に思ったのと、あとは松本さんのパッションが素晴らしくて、こういう方だったら業界を変えられるんじゃないかなということで投資させていただきました」

自分たちのビジネスを売り込み、投資会社などからこれまでに80億円以上の資金を調達し、事業を成長させてきた松本さん。そんな松本さんのこれからの夢は…

CBcloud 松本隆一代表
「日本を代表する物流インフラをもっている企業というところは目指しますし、併せて世の中に物流の価値だけじゃなく人を残せる、我々の会社から世の中に評価されるような人が残っていく、人が残るような会社を作っていけると、会社を作った身としては嬉しいかなと思います」

遠くから見ても一目でわかる大きな積乱雲。物流業界でそうした存在になるために、国内はもとより海外も視野に入れ、松本さんの挑戦はこれからも続きます。