報復を怖がり、債務者が声をあげられない現状
ヤミ金の拠点近くで働く人
「車5、6台とスクーター2台とかが常に配備というか、出勤というか、まあいてて、帰りもいてて、土日は誰もいない。いつ入っているかも分からないし、でもエアコンとかは回ってるし、まあ人はいるのかなという雰囲気はありましたね。なんか気持ち異様な雰囲気もあったので」
Q中も見えない?
「中は一切見えないっすね」

男性は去年8月の家宅捜索後にこの民家を確認したところ、それまでは気づかなかった複数の防犯カメラがついていて驚いたとも話していました。
そしてアジトなどからの押収されたものには、いわゆる「飛ばし携帯」や「飛ばし通帳」と呼ばれる携帯電話やキャッシュカードなどがあり。これらを債務者に用意させることで、男らは警察の捜査を逃れていました。
こうした中、今回逮捕まで至った1つの要因として、私たちの取材に応えてくれた元債務者のAさんが保管していた、グループとの融資のやり取りの明細が証拠のひとつになったことが分かっています。
一方で、警察は家宅捜索で押収された債務者リストから、債務者をあたりましたが、こうした執拗な嫌がらせをするヤミ金の「報復」を恐れ、事件化しない債務者も多く、捜査関係者は逮捕までの証拠集めはかなり難航したと言います。
今回県内で活動していた9人が逮捕されましたが、警察は海外と沖縄を行き来して指示を出していたとみられる指示役の男を近く国際手配する方針で、男らの余罪についても捜査を続けています。
今回明らかになった額は氷山の一角に過ぎず、本当の実態はまだ明らかになっていない可能性もあります。

ヤミ金の影響というのはかなり大きく、こうした犯罪集団だと分かりながら、キャッシュカードや携帯電話などを提供すると、債務者側も罪に問われてしまう可能性もあります。
執拗な取り立ての中で追い込まれ、相手の要求に応えているといつの間にか自分までも共犯者に誘い込まれてしまうという仕組みで、今回のようなヤミ金業者側の摘発ももちろんですが、「ヤミ金から絶対にお金を借りない」という債務者側の意識も重要になってきます。