きょうは、高齢者や障がいのある人を支え続ける石川県能登町の福祉避難所の現状です。

能登町の地域交流センターにある福祉避難所。日常生活で介助が必要な75歳から93歳の高齢者12人が生活しています。

能登町では町内5か所の福祉施設を災害時の福祉避難所に指定していましたが、地震で建物が被災。介護スタッフも被災し、新たな避難者の受け入れができなくなっていました。

能登町 健康福祉課 千場かおりさん
「夜、徘徊がありましたり、夜中でもトイレのたびに誰かが付き添わなければならない。(一般)避難所では生活が難しくなっていると」

受け入れ先が見つからない中、福祉避難所の開設と運営を申し出たのが、5年前の千曲川決壊の際、長野市にゼロから福祉避難所を立ち上げた経験のある長野県の福祉チームでした。

被災を免れた地域の多目的ホールに段ボールベッドや介護トイレなどを運び込み、先月19日から福祉避難所をスタート。5日交替で長野県から10人ほどの福祉専門職のスタッフを送り込み、運営しています。

「寝られる?」
「慣れたら寝る」

娘の仕事再開に合わせ、一般の避難所から福祉避難所に移った三田すいさん(88)。

三田さんの娘
「支援の方にみていただいて、安心して仕事に行けるじゃないですか。とてもありがたいなと思っています。生活のために仕事も行かないといけないし、すごく心強いです」

夜勤は3人態勢。トイレの付き添いやおむつ交換のほか、なかなか眠れない避難者に寄り添い声かけを行います。

長野県ふくしチーム 下井健吾さん
「うちに帰りたいみたいな感じで、ちょっとお話を聞いて」

高齢者にとっても過酷な避難生活。足腰の機能低下や認知症の進行も指摘されていて、きめ細やかな福祉の支援が求められています。

長野県ふくしチーム・リーダー 橋本昌之さん
「高齢者や障がいがある方が避難所であまりいい環境でないと、みんな患者になってしまう。そこを遅らせるには、やっぱり福祉の力」

石川県では介護が必要な被災者に対し県内外の福祉施設への入所を調整していますが、地元に残りたいと考える高齢者も多くいます。

長野県ふくしチーム・リーダー 橋本昌之さん
「違う地区に行くことをためらう方はいるので、やっぱり地元に残りたいという人がいた場合はそこを支える仕組みは必要」

被災地に残る高齢者や家族を福祉の力で支え続けます。