「挫折や悔しさを味わって」試合を通して人としての成長も

ペースがつかめない状況に陥っている悠真くんに歩み寄ったのは、中部農林高校相撲部の先輩。リーグ最終戦の出番まで、そばにいます。

中農相撲部 山城咲武斗さん
「自分の相撲をとろう」
赤嶺悠真君
「はい」

アドバイスを受けた悠真くん。悲願の1勝を手にしたいところですが、その相手は強豪・浦添中学校の仲宗根広陽くん。立ち合い早々にまわしを取られると、一気に投げられ3戦全敗の結果に。

取り組み後には、こみ上げるものがあったようです。

母・ルミさん
「きょう初めて涙を拭うところを見て、『勝ちたかった』という感情が芽生えてきたのかなって。この子にも挫折とか、悔しさを味わってもらわないとね。それがいい経験になると思うので」

そんな悠真くんが、試合後に声をかけた人がいました。

赤嶺悠真君
「ちょっと肩を叩いていい?」
仲宗根広陽君(浦添中)
「うん」

(強く肩を叩き気合を入れる)
『パンパンパン』

その相手とはリーグ戦の最終戦で悠真君に勝った仲宗根くん。決勝戦を前に鼓舞します。

赤嶺悠真君
「優勝しろよと気合を入れました」

他校の選手に自ら声をかけにいくのも、これまでは見られない光景でした。

母・ルミさん
「おつかれ様。どうだった?どんな気持ち?」
赤嶺悠真君
「怖くて全然相撲とれなかった。前出る相撲が見せたかった」

母・ルミさん
「前に出てたよ」
祖母・初子さん
「前には出ていたからね」

「もっとできるはず」。相撲に真剣に向き合ってきたからこそ、悔しさがにじみ出てくる悠真くんに、来年の参戦について聞くと…

赤嶺悠真君
Q来年も琴椿杯あるけど、来年はどうですか?
「わからない。考え中です」
Q出たらどうしたい
「1勝できるようにしたいです」

健常者にくらべてハンディがありながら、同じ土俵で勝負した悠真くん。彼が挑戦したことは、同じように障がいのある後輩たちにとっても、ひとつの可能性を示してくれました。