アメリカ議会上院は、ウクライナ支援を盛り込んだ緊急予算案を可決しました。ただ、下院では多数派の野党・共和党トップがこの予算案に反対姿勢を示していて、可決の見通しは立っていません。

アメリカ議会上院は13日、ウクライナへの軍事支援を含む緊急予算案を賛成70票、反対29票の賛成多数で可決しました。

総額950億ドルあまり、日本円で14兆円を超える緊急予算案は、与野党協議の結果まとまったもので、ウクライナやイスラエルへの軍事支援に加え、中国への対応を念頭に台湾などインド太平洋地域向けの予算も盛り込まれています。

アメリカでは、与野党の対立から追加のウクライナ支援予算が議会で承認されず、去年の年末に財源が枯渇して新たな支援ができなくなっています。

ただ、下院で多数を占める野党・共和党のジョンソン議長は、上院で可決された予算案に反対する姿勢を示していて、予算案が成立する見通しは依然として立っていません。背景には、共和党内に大きな影響力を持つトランプ前大統領の存在があります。

トランプ氏は、ウクライナ支援よりも不法移民に対応するためのメキシコとの国境管理強化を優先すべきだと主張していて、ジョンソン議長をはじめ、共和党の下院議員が追加のウクライナ支援に対して慎重な姿勢をとる要因となっています。

バイデン大統領は声明を発表し、上院での予算案可決を歓迎したうえで下院でも早期に可決するよう求めました。

一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は、アメリカ議会上院での可決を受け、SNSに「私たちだけでなく、他の国々、特にヨーロッパが待ち望んでいた結果だ」と歓迎するコメントを投稿。そのうえで「次のステップは下院だ。私たちは前向きな決定を期待する」と、下院でも予算案が可決されることに期待を示しました。