開催まであと半年を切ったパリオリンピック。着々と準備が進められる一方で、パリ伝統の「あるもの」が岐路に立たされています。

フランス・パリ中心部を流れるセーヌ川。その川沿いには、緑色の箱が並んでいます。「ブキニスト」と呼ばれるフランス伝統の古本屋さんです。16世紀頃から始まったとされ、今ではパリの風物詩にもなっています。

パリ ブキニスト文化協会 ジェローム・カレー会長
「パリといえば、エッフェル塔とブキニストですよ。我々は450年前からセーヌ川沿いにいます」

そのセーヌ川では今年、オリンピックの開会式や一部の競技などが行われる予定です。開会式には川沿いに30万人が詰めかけると予想されており、ブキニストにとっても書き入れ時かと思いきや…

記者
「オリンピックを前にパリの警察は、ブキニストたちに店の撤去を要請しています」

警察から、治安維持のためとして、店の一時的な撤去や期間中の営業停止を求められているのです。撤去の期間やその間の補償なども現時点では不明瞭で、ブキニストたちは頭を抱えています。

パリ ブキニスト文化協会 ジェローム・カレー会長
「私たちはスポーツにもオリンピックにも大賛成です。ただ、ブキニストがなくなってしまうことが悲しいのです」

さらにこんな課題も…

「箱は、木材と金属のネジやボルトで作られているので、箱を移動させると簡単に壊れてしまいます」

壊さずに移動させることができるのか、壊れてしまった場合、修理やその後の営業はどうなるのかなど、不安は尽きないといいます。

ブキニストらで作る協会は、当局を相手に、立ち退きの撤回や休業期間中の補償などを求める訴訟を起こす方針です。

オリンピックまであと半年弱。セーヌ川沿いの景色はいったいどうなるのでしょうか。