労働基準法が適用されない…“共同マニュアル”に「専門分野」「社員同行」など盛り込む
上村彩子キャスター:
一時は対立した企業とマニュアルを作るというのは、本当に「もう2度とこのようなことが起こって欲しくない」という強い気持ちの表れだと思います。
海外赴任した方の過労死や過労自死は、上田さんに限った話ではありませんよね。

取材したMBS・松本陸記者:
まず国内での過労死と違い、海外での過労死については、国などの公式な調査・統計は存在しません。
ある遺族が独自に調査した結果によると、1983年からの約40年間で少なくとも22件はあるとされています。
ただ、過労死遺族の上田さんも「この数字は氷山の一角。下手すれば氷山のひと粒ではないか」と話していました。
喜入友浩キャスター:
なぜこうしたことが起きてしまうのでしょうか?

取材したMBS・松本記者:
盲点なのですが、日本の労働基準法は、日本企業から海外に派遣される労働者には適用されません。これは「属地主義」といって、労働に関する法律も現地の法律が適用されるべきという考え方があるためです。
つまり、法の空白があり、労働基準法が適用されない以上は、労働時間の規制も生じないといった構造になっています。
また、特に発展途上国などであれば、日本と比べて健康管理や医療体制が不十分という背景もあると考えられます。
上村キャスター:
こうした中で発表された上田さんとカナデビアが共同作成した「海外赴任マニュアル」は大きな一歩ですね。
取材したMBS・松本記者:
上田さんの息子・優貴さんが、初めての海外勤務にもかかわらず専門外の分野の仕事を担って、それがかなり負担になっていたという点を踏まえて、特に初回の海外派遣者についての配慮・サポートに重点を置いたマニュアルになっています。

例えば、▼専門分野の業務のみを行わせる、▼派遣期間が3か月を超えないようにする、また、孤立感や孤独を防ぐという意味でも、▼指導役の社員を全期間同行させるといった内容が盛り込まれています。
これは、あくまでカナデビア社内のマニュアルですが、内容自体は普遍的なものです。上田さんもこうしたマニュアルや内容が、他企業にも広がっていくことを期待しています。
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<プロフィール>
MBS 松本陸記者
元大阪司法キャップ
労災事案や大災害・大事故での“遠因死”など取材