西アフリカ沖のカーボベルデ付近を航行中のクルーズ船「MVホンディウス」で、まれな呼吸器ウイルス「ハンタウイルス」の集団感染が発生している問題で、同船では6日に感染の疑いがある3人が搬送された。スペインのガルシア保健相は記者団に対し、同船がカナリア諸島に向かい、約150人の乗客を下船させると明らかにした。

ホンディウス号では、23か国の乗客、乗員、探検スタッフが隔離されている。ガルシア氏によると、MVホンディウスは9日にテネリフェ島のグラナディージャ・デ・アボナ港に到着する見込みだ。ガルシア氏は「現時点で船に残っている乗客と乗員は全員無症状だ。医学的な理由で不可能な場合を除き、全ての外国人乗客は送還される」とし、欧州委員会主導の下、世界保健機関(WHO)が支援する手順に従って対応すると説明した。スペイン人乗客13人と乗員1人はマドリードの軍病院に移送され、隔離される。

群島の医療を管轄するカナリア諸島政府は、この船の入港についてスペイン政府から正式な要請を受けていないとし、地域政府のクラビホ首相は、サンチェス首相との緊急会談を求めている。

クラビホ氏はスペイン国営テレビTVEで「なぜ乗客が3日間航行してカナリア諸島の港に向かう必要があるのか分からない。カーボベルデのプライア国際空港から空路で搬送できるはずだ」と述べた。

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は、X(旧ツイッター)に「本日船からの搬送は行われたものの、引き続き、全体としての公衆衛生上のリスクは低い」と投稿した。

ハンタウイルスは感染したラットやハタネズミのふん尿、唾液を含む汚染粒子を、人間が吸入して感染することがある。重症化すると、肺に液体がたまるハンタウイルス肺症候群に悪化する可能性がある。初期症状はインフルエンザに似ているが、急速に悪化することがある。ヒトからヒトへの感染はまれであるため、全体として公衆衛生上のリスクは低いとされる。

MVホンディウスは4月初旬にアルゼンチン南部を出発し、集団感染が確認される前は南大西洋の離島を訪れていた。最初の患者であるオランダ人夫妻は、4月1日にアルゼンチンで乗船する前、南米を旅行していた。2人ともその後死亡した。

スイスでは、4月末にMVホンディウスで南米を旅行した後に帰国した患者が、チューリヒ大学病院で治療を受けている。この患者は呼吸器ウイルスのアンデス型に感染しており、これはまれに人から人への感染が起こり得る唯一の株だという。患者は隔離されており、同行していた無症状の妻も、予防措置として自己隔離している。

スイス政府は6日の発表で、公衆への感染リスクは低く、「スイス国内でさらなる感染者が発生する可能性は低い」と強調した。

原題:Hantavirus Ship Heads for Canary Islands as Patients Evacuated(抜粋)

--取材協力:Janice Kew、Jason Gale、Marthe Fourcade、Paul Richardson.

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