(ブルームバーグ):日本銀行の植田和男総裁は28日、中東情勢の混乱を受けても大きな景気の下振れがなければ利上げに踏み切る可能性があるとの見解を示した。政策金利を維持した金融政策決定会合後の記者会見で語った。
植田総裁は今後の金融政策運営について、当面成長率が少し低下する場合でも、大きな景気の下振れということにならない限り、物価の上振れリスクなどが顕在化する時には「利上げの可能性がある」と述べた。
基調的な物価上昇率が2%に近づく中、物価が大きく上振れるリスクが顕在化して経済に悪影響を及ぼすか十分に注意する必要があると指摘。その上で、政策対応が後手に回るビハインド・ザ・カーブに陥らないよう、「次回以降の決定会合において適切に政策を判断していきたい」とも話した。
原油価格の上昇は、これまで以上にさまざまな財・サービスの値上げに波及しやすくなっている可能性があると説明。こうした動きが予想物価上昇率の上昇を通じて「基調的な物価上昇率の押し上げにつながりやすくなっている可能性がある」と語った。
日銀は同日の会合で政策金利を0.75%程度に据え置くことを賛成6・反対3の賛成多数で決めた。利上げに積極的な高田創、田村直樹の両氏に加え、中立とみられていた中川順子氏の3人の審議委員が反対し、1%への利上げを提案した。2023年4月以降の植田総裁の体制下で、3人が反対票を投じたのは初めて。
総裁は3人の反対票について、「深刻に受け止めないといけないと思っている」と言明。賛成した6人については、物価の上振れリスクは気にしているが、直ちに利上げで対応するところまでの緊急性はないというのが平均的な判断だったとの認識を示した。
他の発言
- 中東情勢緊迫化長期化なら、サプライチェーンに影響も
- 中東情勢の景気への影響、ショックの規模次第で一段と減速も
- 展望リポート、中心的な見通しが実現する確度は低下している
- 中心見通し確度とリスクをもう少し確認したい
会合では金融政策運営について、重視する基調的な物価上昇率が「2%に近づいている」とし、実質金利が極めて低い水準にあることを踏まえれば、「経済・物価・金融情勢に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」と説明。利上げ路線を継続していく姿勢を明確にした。
新たに公表した経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、26年度の消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)見通しを前年比2.8%上昇と従来の1.9%上昇から大きく引き上げた。一方、実質国内総生産(GDP)見通しは、26年度を0.5%増(従来は1.0%増)、27年度を0.7%増(同0.8%増)に下方修正した。
(総裁の発言の詳細を追加して更新しました)
--取材協力:氏兼敬子、横山恵利香.
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