(ブルームバーグ):28日に行われた日本銀行の金融政策決定会合の結果について、株式・金融市場では利上げに前向きな「タカ派」的な内容と受け止められ、外国為替市場の円相場が対ドルで上昇する一因になったとストラテジストらはみている。
日銀は政策金利の現状維持を賛成多数で決めたものの、利上げを主張して反対票を投じた審議委員が3人に増えたため、6月に利上げに踏み切る可能性が高まったとの見方が広がった。
会合結果の判明を受け、円相場は対ドルで一時ニューヨーク終値比0.3%高の158円99銭まで上昇。21日以来、1週間ぶりに158円台に入った。
【ストラテジストらの見解】
SMBC日興証券の丸山凜途金利・為替ストラテジスト
- 市場は高田、田村両委員の反対票を織り込んでいたが、中川委員も反対票を投じたことは予想外
- 2026年のコアCPI(消費者物価指数)の見通しは2.8%と前回から0.9ポイント引き上げられ、個人的に0.5ポイント程度の引き上げを予想していたため、驚きだった
- 全体として内容はかなりタカ派で、その結果として円高が進んだことは理解できる
- 重要なポイントは植田和男総裁と反対票を投じた3人の委員の見解がどの程度異なるか
- もし総裁側と意見が近いにもかかわらず、今回利上げを見送ったことが明らかになれば、6月利上げの可能性が高まり、円高が進む余地もさらに広がる
ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズの駱正彦シニア債券ストラテジスト
- 政策委員9人のうち反対が3票に増えたことが示す通り、日銀はタカ派的な姿勢を維持し、インフレ抑制と同様に通貨防衛の意図も強く読み取れる
- インフレと堅調な成長を維持する中、円安進行に対する容認度が低下していることを示唆する
- インフレ見通しも大幅に上方修正されており、財政拡大に加えロボット、人工知能(AI)による生産性向上に日本経済がけん引され、好況期に入りつつあるとの当社の基本シナリオを裏付ける
- 26年に2回の利上げが行われるとの見通しを維持、6-7月が重要な時期になる
- リスク資産に対する環境は中立からやや強気で、日本株は引き続き下支えされる見通し
- ドル・円は高水準を維持する可能性はあるが、162円付近で頭打ちになろう
- 日本国債のイールドカーブ(利回り曲線)は、26年上期にかけてスティープ(傾斜)化を維持する可能性が高い
T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフストラテジスト
- 展望レポートでエネルギーを除くコアコアCPIも上方修正され、政策金利維持への反対票も増えるなどタカ派だった
- 物価見通しの上方修正後もなおリスクバランスでは上振れの方が大きいと書いているのはタカ派な印象
- 6月の利上げを道筋として示したことで円は上昇しやすい
- 日本の輸出関連株の重しになりそう。日経平均は6万円を挟んでの攻防になるだろう
- ただ、植田和男総裁の会見内容によっては円安リスクも残る
コモンウェルス銀行のストラテジスト、キャロル・コン氏
- 投票結果が割れたことや物価見通しの修正は、日銀の当局者が成長の下振れリスクよりもインフレの上振れリスクを懸念し始めていることを示す
- 為替の円高基調が続くためには、植田総裁が会見で短期的な利上げの可能性が高まっていることを示唆する必要がある
- もしも定型的な発言に終始し、明確な政策の指針を示さなければ、市場は6月利上げの可能性が低いと見なし、円安に転じる可能性が高い
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美チーフ債券ストラテジスト
- 日銀は6月の金融政策決定会合で利上げを検討すると予想、一段の円安や金利上昇は抑制される
- 中川委員が反対し、反対票が3人に増えたのはサプライズ
- 中川氏の任期は6月までで、6月会合には参加するため、執行部の3人が利上げに賛成すれば、過半数になる
- 金融政策運営について「経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」という前回3月会合の記述から「改善」が削除された
- 日銀は26年度の実質GDP見通しを1%増から0.5%増に下方修正したが、軒並み上方修正した物価見通しが想定通りにいけば、景気が若干弱くても利上げに踏み切る意思表示だろう
関西みらい銀行の石田武ストラテジスト
- 展望リポートで示したコアCPI見通しは上方修正幅が想定以上に大きく、6月の利上げ期待を残した
- 展望リポートは利上げしてもおかしくない内容
- 政策据え置きの反対票に中川委員が入っていたのはサプライズ
オーバーシー・チャイニーズ銀行の為替ストラテジスト、モー・シオン・シム氏
- 日銀のタカ派的な政策据え置き姿勢が円相場に好影響を与えた
- 利上げを主張し、反対票を投じたのは3人。3月の前回会合では1人だったのとは対照的だ
- 植田総裁はタカ派的な姿勢を維持せざるを得ないだろう。さもなければ、円相場は再び下落圧力にさらされる可能性があり、その場合は財務省の介入リスクが下支え要因になる
ロンバー・オディエ・シンガポールのストラテジスト、ホミン・リー氏
- 日銀がコアインフレ見通しを大幅に上方修正したことや中期的なインフレ動向に関する声明は、政策金利を据え置いたとはいえ、政策委員会がさらなる利上げを志向していることを示唆する
- 植田総裁が会見でタカ派的な姿勢を示すことは円相場やインフレに対する市場予想を安定させる上で理にかなっており、われわれはそのような展開になると予想している
--取材協力:日高正裕、深瀬敦子、堤健太郎、日向貴彦、Matthew Burgess.
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