ホルムズ海峡は「完全に開かれている」とイランのアラグチ外相が17日、X(旧ツイッター)に投稿した直後、ペルシャ湾に係留していたタンカー1隻がいかりを上げ、海峡に向かった。

この船は、インド船を湾外に出すための取り決めの一環として通航許可が出ていると信じていたと、船主が匿名を条件にブルームバーグに語った。船は通信アプリ「ワッツアップ」と電子メールを通じてインド当局と連絡を取り合っていた。

イランに近づくと、海峡は封鎖されているとの録音メッセージを受信したが、インド側から通過可能だと伝えられた。その後、イラン沿岸に約4マイル(6.4キロ)まで接近した時点でイラン海軍から呼び止められ、引き返すよう指示された。

船主や代理店、セキュリティーコンサルタントが匿名でブルームバーグに語ったところによると、アラグチ外相の発言に加え、トランプ米大統領がホルムズ海峡は開いていると発表したことを受け、海峡が実際に通れるのか運航側が試す動きが広がり、現場は約24時間にわたって混乱した。

18日に実際に通過できた船は少数にとどまり、大半は引き返して通過の試みを断念した。19日には通航の動きはほぼ止まった。米海軍はイラン船籍の貨物船に発砲した上で拿捕(だほ)した。米国によるホルムズ海峡の封鎖の一環としては初めての拿捕となる。短期間開いていた通航の余地は事実上閉ざされた。

湾内にとどまる船舶が、錯綜(さくそう)する情報の解釈に苦しむ中、過去2日間、混乱は続いた。イランのメディアは、同国が「敵対」国に関連する船の通航を拒否すると報じた。イランは海峡を開放する条件として、同国船舶に対する米国の封鎖終了を挙げたが、米側は維持するとした。現場では乗組員が通航許可が出ているのかどうかの判断に苦慮した。

インド当局はワッツアップで「これは想定外だった。政府上層部に問題提起している。停止を求められたら停止し、指示に従ってほしい」と船主に伝えたと、メッセージを受け取った船主の一人が明らかにした。

インド港湾・海運・水路省にコメントを求めたが、直ちに返答はなかった。

小型艇が接近

18日正午ごろには複数の船が再び通過を試みた。イランとインド双方の当局から安全に通過できるとの情報を得ていた。

その中にはインドのタンカー1隻があった。事情に詳しい2人によると、同船がイラン沿岸沖のララク島に近づくと、銃やロケット弾で武装した男らが乗る小型艇が接近し、発砲があった。

現地に船を持つ関係者2人によると、ある船の船長はイラン海軍に対し「私の名前はあなたのリストで2番目だ。通過許可を出したではないか。いま発砲している。引き返させてほしい」と訴えた。そのタンカーはUターンし、イラン領海の外へ向かった。

18日午後、インド外務省報道官はXで、航行する船舶への脅威を受けてイラン大使を呼び出したと明らかにした。

発砲はホルムズ海峡に新たな混乱を招いた。船舶データによると、コンテナ船4隻がこの攻撃後に引き返した。

17日夜に通過を試みた船の乗組員はすでに海峡に戻る途中にあったが、無線で発砲や攻撃のニュースを聞き、再び通航を断念した。

複数の船主によると、その後まもなく、イラン当局はホルムズ海峡が再び閉鎖されたと放送で通告した。

イスラム革命防衛隊の海軍は18日午後、船舶に対し、ペルシャ湾およびオマーン湾の停泊地を離れないよう警告し、ホルムズ海峡に接近する行為は「敵への協力とみなされ、違反した船舶は攻撃対象になる」との声明を発表した。

原題:Gunfire, U-Turns and Threats Mark a Chaotic Weekend in Hormuz (1)(抜粋)

(5段落目にイラン船籍の貨物船拿捕の情報を追加して更新します)

--取材協力:Anthony Di Paola.

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.