(ブルームバーグ):トランプ米大統領がホルムズ海峡の封鎖に踏み切る動きは、アジア地域の米同盟国や中国などエネルギー依存度の高いアジア各国への経済的打撃を一段と深刻化させる恐れがある。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のジェニファー・ウェルチ氏らアナリストはリポートで「世界経済と市場にとって、今回の展開は再び下振れリスクに焦点を当てるものとなり、原油価格の上昇と成長への打撃拡大、インフレ押し上げを示唆している」と指摘した。
北海ブレント原油は13日に一時9.1%高の103.9ドルまで上昇した。アジア時間早朝の取引で、欧州の天然ガス先物価格も一時18%急上昇し、51.30ユーロの高値を付けた。

米中央軍は、米国とイランの協議が合意に至らず決裂したことを受けてトランプ米大統領が発表した措置に基づき、イランの港に出入りする全ての海上交通に対する封鎖を、ニューヨーク時間13日午前10時(日本時間同日午後11時)から実施すると明らかにした。
日本や韓国など米国の同盟国を含むアジア諸国は、通常この海峡を通過するエネルギーの80%以上を利用している。アジア地域の各国政府は、代替の石油・ガス供給の確保に奔走(ほんそう)するとともに、エアコンの設定温度引き上げなどによるエネルギー消費抑制や、消費者や企業への影響緩和策の導入を進めている。
中国を含む各国の船舶やイランに関連するタンカーはこれまでホルムズ海峡を通航してきたが、封鎖はこうした動きを標的とする。トランプ氏が5月中旬に予定する訪中を前に、中国は封鎖解除を求めて米国側に圧力をかける可能性がある。BEの分析によれば、中国は必要に応じて重要鉱物分野での支配力を活用する可能性がある。

BEは別のリポートで、戦争と世界経済を巡る三つのシナリオを示した。
基本シナリオでは、規模は限定的ながらも紛争が継続し、原油価格は第2四半期に平均1バレル=105ドルで推移した後、第4四半期には85ドルに下落する見込み。世界の域内総生産(GDP)は今年2.9%成長する一方、インフレ率は第4四半期に4.2%となる見通しだ。
より激しい戦闘が続き、ホルムズ海峡が数カ月にわたり事実上封鎖される場合、原油価格は170ドルに上昇する。このシナリオでは世界成長率は2.2%に減速し、年末のインフレ率は5.4%に達するという。
一方、持続的な停戦やイラン体制の崩壊が起きれば、海峡の早期再開とともに原油価格は戦争前の水準に下落し、世界成長率は3.1%、年末のインフレ率は3.7%になると分析している。
アナリストらは、「どのシナリオが最も実現する可能性が高いかについて、今回の展開は明確な手掛かりをほとんど与えていない」と指摘。「今後の推移を見極める必要があるが、現時点では基本シナリオがおおむね妥当な軌道にあると考えられる。ただし状況の詳細は引き続き変化している」とした。
原題:Trump’s Hormuz Blockade Risks Piling Pain on Asia Allies, China(抜粋)
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