(ブルームバーグ):トランプ米大統領が、エネルギー輸送の要衝、ホルムズ海峡の海上封鎖を開始すると公表したことを受け、アジア時間13日の取引で原油価格は急伸し、1バレル=100ドルを再び突破した。
米とイランとの戦争終結に向けた協議は不調に終わり、ホルムズ海峡経由の供給途絶が長期化することにより、国際エネルギー危機が深まるとの不安が再燃した。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は一時105ドル台に乗せた。
北海原油代表油種ブレント先物6月限は9.1%高の103.9ドルまで値上がり。午後は101ドル台後半で推移した。アジア時間午前の取引で、欧州の天然ガス価格の指標となるオランダのタイトル・トランスファー・ファシリティー(TTF)先物も一時18%高の51.30ユーロと急上昇した。WTI先物5月限は一時9.4%高の105.6ドルの高値を付け、その後103ドル台後半で取引された。
パキスタンの首都イスラマバードで11、12日に行われた米とイランとの協議は合意に至らずに終わった。トランプ大統領はトゥルース・ソーシャルへの投稿で、米海軍がホルムズ海峡を封鎖するプロセスを直ちに開始すると表明した。
米中央軍はニューヨーク時間13日午前10時(日本時間同午後11時)から封鎖を実施する。イランの港を行き来する船舶が対象で、それ以外の航行の自由は妨げないという。トランプ氏は12日記者団に対し、封鎖は非常に効果があるだろうと語った。
一方、米紙ウォールストリート・ジャーナルは、トランプ大統領と側近らが、ホルムズ海峡の封鎖に加え、イランへの限定的な軍事攻撃再開を検討していると報じた。
ホルムズ海峡を通過する船舶は11日の段階で増加傾向にあったが、米とイランとの交渉が不調に終わった後、海峡を通過しようしていた2隻の船舶が急きょUターンした。現物供給が世界的に逼迫(ひっぱく)し、精製業者やトレーダーは、直ちに入手可能な原油の確保を急ぐ懸命な争奪戦を繰り広げている。

米国の在サウジアラビア大使を務めたマイケル・ラトニー氏はブルームバーグTVの番組で、米軍の今回の動きが「非常に大きな追加リスク要因」をもたらすと分析。中国向けに原油を運ぶ船舶もある中で、「米海軍はそれらの船を封鎖し、米中関係の危機を招くつもりだろうか」と疑問を呈した。
ブルームバーグが集計した暫定的な追跡データによると、イランは3月もペルシャ湾から原油とコンデンセートの出荷を継続しており、最大の仕向け地は中国だった。
一方、米戦略国際問題研究所(CSIS)の中東プログラムディレクター、モナ・ヤクービアン氏は、ホルムズ海峡を封鎖する計画について、「かなり野心的な試みと感じるが、供給途絶の問題を解決するものではなく、理解に苦しむ」と受け止めた。
ヤクービアン氏によれば、イランが自国の石油輸出が脅かされていると感じれば、イエメンの親イラン武装組織フーシ派に働き掛け、紅海南端の要衝、バブルマンデブ海峡を通過する船舶を標的にする恐れがある。
「そうなれば、ただでは済まない。これまでの経験からイラン側は譲歩せず、同等の手段で対抗すると予想される。われわれは何度もそれを目にしてきた」と同氏は指摘した。
原題:Oil Rallies as US Blockade of Iran Brings ‘Dangerous’ Escalation、European Gas Prices Jump as Trump Threatens Hormuz Blockade(抜粋)
(最新の相場と識者の見解を追加して更新します)
--取材協力:Charles Gorrivan.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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