(ブルームバーグ):イランによるカタールへの直近の攻撃は、世界最大の液化天然ガス(LNG)輸出施設に深刻な被害を与え、国営カタールエナジーにとって約200億ドル(約3兆1600億円)の減収要因となる見通しだ。
同施設のあるラスラファン工業地区へのミサイル攻撃により、カタールエナジーの第4および第6トレインが損傷した。同社の19日の発表資料によると、両トレインの合計生産能力は年間1280万トンで、カタールの年間LNG輸出量の約17%を占める。修理の完了には最大5年を要するという。
同LNGプラントは、以前のドローン攻撃の影響で既に生産を停止していた。今回の攻撃はより甚大な被害をもたらし、長期的な操業停止により、LNGの購入者、とりわけアジア諸国は失われた数百万トン分の供給を補うために奔走することになる。
「中国と韓国、イタリア、ベルギーに影響が及ぶ」とカタールエナジーのサアド・ビン・シェリダ・カアビ最高経営責任者(CEO)は発表資料で言及。「これは、一部の長期LNG契約について、最大5年間にわたりフォースマジュール(不可抗力)を宣言せざるを得ないことを意味する」と述べた。

ラスラファンへの攻撃は、ここ数日間で相次いだ石油・ガスインフラを標的とした一連の攻撃に続くものであり、この地域における敵対行為のさらなるエスカレーションを示す。これにより天然ガス価格は急騰し、19日の欧州先物価格は一時35%上昇し、開戦前の2倍以上の水準に達した。価格急騰は中東での戦争による長期的なインフレリスクを浮き彫りにしている。
ラスラファンの第4および第6トレインはいずれも米エクソンモービルとの合弁事業。また、石油代替燃料(GTL)を生産する隣接の施設「パールGTL」も標的にされた。同施設はシェルが運営している。同CEOによると、同施設の被害状況は現在も調査中だが、少なくとも1年間は稼働停止となる見込みだという。
カタールエナジーはさらに、約1860万バレルのコンデンセート(凝縮油)の生産が失われると予測している。これはカタールの輸出量の24%に相当するほか、液化石油ガス(LPG)輸出の13%、ヘリウム輸出の約14%に相当する。
原題:Iran Strike to Cost QatarEnergy $20 Billion a Year in Sales (1)(抜粋)
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