2月の米消費者インフレは、食品とエネルギーを除くコア指数の前月からの伸びが減速し、イランとの戦争が始まる前の時点で物価上昇圧力が緩和していたことが示された。

インフレは昨年ほぼ通年で高止まりしていたが、ここ数カ月は総じて下降トレンドにあった。しかしイランとの戦争が始まったことで原油やガソリン、肥料の価格が押し上げられ、インフレ懸念は再燃している。11月の中間選挙を控え、消費者の間でアフォーダビリティー(暮らし向き)不安が高まりかねない。

来週の連邦公開市場委員会(FOMC)は政策金利を据え置くと予想されている。この予想は中東での紛争が激化する前に立てられた。対イラン戦争は少なくとも短期的にインフレを押し上げる恐れがあり、一部の投資家は金利据え置きが従来想定より長期化するとみている。しかし労働市場の脆弱(ぜいじゃく)さが続いていることにも、政策当局者は留意せざるを得ない。

BMOキャピタル・マーケッツのシニアエコノミスト、サル・グアティエリ氏は「少なくともエネルギー価格ショックが起きる前の段階では、インフレは安定しつつあったようだ。また、関税がインフレに与える影響が今や薄れつつあることも確認できる」と述べた。

CPI統計の発表後、S&P500種株価指数は上昇して始まったが、その後下げに転じた。米国債利回りは上昇した。市場ではなお、今年前半に追加利下げはないとの見方が優勢だ。

基調的なインフレ圧力の緩和は、中古車や自動車保険などの価格低下を反映した。一方でガソリンや野菜、コーヒーといった食料品は値上がりした。

CPIの主要項目の一つである住居費は、2カ月連続で抑制された水準となった。主要な住宅関連指標である家賃は前月比0.1%上昇と、5年ぶりの低い伸びだった。

食品とエネルギーを除くコア財価格も、わずかな伸びにとどまった。しかし衣料品や家電製品など一部の商品価格には、関税関連コストを消費者に転嫁しようとする企業の試みがうかがわれる。

ガソリン価格はイラン戦争が始まる前から、すでに上昇していたが、世界的に供給混乱が生じてからはさらに急騰している。米自動車協会(AAA)の最新データによれば、ガロン当たり3.58ドル。イラン攻撃前は2.98ドルだった。

ハイ・フリークエンシー・エコノミクスのチーフエコノミスト、カール・ワインバーグ氏は「急激な物価上昇は次回統計で表面化する」とリポートで予想。エネルギー価格の上昇が航空運賃や陸運コストだけでなく、食品など他の財に波及することに注意を促した。

ブルームバーグ・エコノミクスのアナ・ウォン、トロイ・デュリー両エコノミストは「CPIは年初に高い数字になる傾向がある。新しい年に入って企業が価格を引き上げることが多いためだ。しかし2026年はこのトレンドから外れた」と述べた。

消費者物価の押し上げには生産者レベルのインフレも影響する。ここ数カ月の生産者物価指数(PPI)は伸びているほか、米供給管理協会(ISM)の製造業統計によれば、仕入れ価格が2月に急上昇し、2022年以来の高水準となった。一方でISMの非製造業統計では、仕入れ価格は約1年ぶりの低水準だった。

住宅とエネルギーを除くサービス業の価格指数は、前月から0.4%上昇。1月からは伸びが鈍化したものの、依然高い水準にある。この指数は「スーパーコア」サービス価格指数と呼ばれ、連邦準備制度理事会(FRB)が注目している。

FRB当局者はインフレ全体の動向を判断する上で、こうした指標の重要性を強調しているが、別の指標である個人消費支出(PCE)価格指数をインフレの基準としている。13日に発表されるPCE価格指数は、一部のコストをCPIから算出している。

インフレ調整を施した実質平均時給は、前年同月比で1.4%上昇し、昨年5月以来の大幅上昇となった。

統計の詳細は表をご覧ください。

原題:US Core Inflation Slowed as Expected Before War With Iran (5)(抜粋)

(市場関係者とエコノミストのコメントやチャート、さらなるデータを追加します)

--取材協力:Chris Middleton、Vince Golle、Mark Niquette、Jarrell Dillard、Julia Fanzeres.

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