台湾積体電路製造(TSMC)は2028年までに日本で先進的な3ナノメートルの半導体生産を始める計画だ。従来は自動車などに使われる7ナノの生産を計画していたが、導入する技術レベルを引き上げる。AI(人工知能)関連向けに活用できる見込みだ。

TSMCの魏哲家会長兼最高経営責任者(CEO)が5日、都内での高市早苗首相との面談で直接伝えた。魏会長は「日本政府の揺るぎない支援に感謝」するとした上で、「この工場は地域経済の成長にさらに貢献し、最も重要なこととして日本のAI(人工知能)ビジネスの基盤を形成するものと確信している」と述べた。

高市首相は、TSMCの熊本工場は大きな経済効果を生んでいて3ナノ生産は経済安全保障の観点からも大きな意味があるとし、「ウィンウィンの連携を一層強化していきたい」と話した。赤沢亮正経済産業相は同日午後記者団に対し、3ナノ半導体はAIロボティクスなどに使われ、AIの社会実装を進める高市内閣の戦略に「完全に合致するものだ」と述べた。

TSMCは熊本県内で建設する第2工場で、現時点で可能な最先端半導体技術を導入すると決めたと、関係者らが明らかにした。当初は27年末までに7ナノ半導体の生産を計画していたが技術レベルが引き上げられたという。ただ関係者によれば、日本での計画は協議の初期段階にあり、変更の可能性もあるという。

Photographer: Yuki Furukawa/Bloomberg

TSMCの日本における生産増強は、高市首相が推進する国内での半導体製造能力強化構想を後押しする見込みだ。高市首相はこれまでの政権からの政策を継承し、経済産業省は来年度予算で先端半導体やAIへの支援額を約1兆2300億円と、現在の約4倍に増額する方針だ。

半導体業界にプラス

米調査会社オムディアの南川明シニアコンサルティングディレクターは、熊本第2工場で元々計画されていた7ナノなどはTSMCにとってはもう市場が見込めない製品となった一方、AI関係で想定より早く3ナノや2ナノといった最先端品に需要がシフトしており、「台湾有事のリスクが高まっている環境もあり、決断したと思われる」とコメントした。

さらに最先端工場が近くにできるというのは装置メーカーや部材会社を含む日本の半導体業界にとって「間違いなくプラス」とした上で、今後3ナノを超える先端品を日本で生産する流れにつながる可能性もあるとも述べた。

台湾当局とTSMCは最先端の半導体について台湾内での開発・維持を掲げている。台湾内で土地や電力供給の問題が深刻化している中で、より成熟した世代の製品については海外で生産能力を増強する動きを進めている。

こうした動きは中国が自国領土と主張し、将来的な併合も視野に入れてる台湾に半導体生産が集中しすぎているとの主要国政府の懸念緩和にもつながるとみられる。

TSMCによる熊本での3ナノ半導体量産については読売新聞が5日付で先に報じていた。報道によると、設備投資の規模は170億ドル(約2兆6000億円)に増やす計画。

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