(ブルームバーグ):トランプ米大統領はこれまで、11月の中間選挙で共和党が議会の多数派でなくなる可能性が「唯一の心配」だと述べている。その心配が現実にならないよう、同氏は前例のない規模の選挙資金を積み上げていることが、最新の連邦選挙委員会(FEC)への提出資料で明らかになった。
トランプ氏の政治団体と共和党全国委員会(RNC)が集めた資金は、12月末時点で計4億8300万ドル(約750億円)に達した。
この金額は、民主党全国委員会(DNC)と同党の上下両院組織、スーパーPAC(政治活動委員会)を合わせた1億6700万ドルの3倍に近い。資金は富裕な支援者向けの高額イベントでの調達や、同氏のスローガンであるMAGA(アメリカを再び偉大に)を支持する層に少額の寄付を呼び掛けた結果だ。スーパーPACだけでも、2024年11月の大統領選勝利以降に3億1300万ドルを集めている。

一方で、現職大統領の与党が中間選挙で議席を失う傾向は伝統的に根強い。第1次トランプ政権下で行われた2018年中間選挙では、共和党が40議席を失った。26年は民主党が下院奪還に必要な議席数が少ないこともあり、流れは民主党に有利とみられている。
世論調査では経済運営や不法移民の取り締まり、外交政策を巡りトランプ政権への不満が広がっている。無党派層や若年層、黒人・ヒスパニック系男性など、前回の大統領選挙でトランプ氏が支持を広げた層にほころびが見え始めている。直近の選挙でも、民主党が生活費高騰への不満を背景に予想以上の健闘を見せている。
1月31日に共和党支持者が圧倒的に多い米テキサス州で行われた州上院議員補選の決選投票では、トランプ大統領自身が終盤に支持を表明するなど介入していたにもかかわらず、民主党候補が勝利した。2024年の大統領選でトランプ氏がハリス前副大統領に17ポイントの差を付けて勝利していた選挙区だ。
関係者によれば、こうした状況の中でトランプ氏は「軍資金」を武器に中間選挙で、「キングメーカー」として影響力を行使する構えだ。資金は忠誠心の強い候補に援助する一方で、税制法案やエプスタイン文書公開法案などで大統領と対立した議員への圧力に使うほか、選挙戦終盤には激戦区に短期集中投下を行う方針とされる。すでに昨年12月にテネシー州の下院議員補欠選挙で介入し、共和党候補を勝たせた実績もある。
共和党内では下院の過半数喪失を覚悟する声もあるが、ジョンソン下院議長は潤沢な資金を理由に「歴史を覆せる」と強気の姿勢を崩していない。トランプ氏は先週、自身の政権運営は再選に値すると正当化しつつ、有権者が中間選挙で「歯止め」を求めるとの見方に対し、「自分にガードレールは不要だ」と語った。
原題:Trump Amasses $483 Million War Chest to Bolster Midterm Chances(抜粋)
--取材協力:Maria Paula Mijares Torres.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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