クオンツ(定量分析)戦略のヘッジファンドはマイナスリターンで2026年の幕を開けた。米国株にポジションが集中する中での不振は戦略へのダメージとなり、同セクターの不安定なリターンに対する懸念が再燃している。

ゴールドマン・サックス・グループのプライムブローカレッジ部門のデータによると、1月上旬は10営業日としては、システマチックなロング・ショート株式戦略にとって昨年10月以来、最悪のリターンとなり、損失は最大1%に達した。同社のカルティク・シンガル、マルコ・ライチーニ両氏は、昨年6〜7月にクオンツ運用を直撃した急落との類似性を指摘した。

UBSグループの推計によれば、米国のクオンツファンドの損失は1月前半(2週間)で2.8%に上った。16日は昨年12月22日以来、1日当たりとしては最も急激なリスク圧縮(デレバレッジ)が見られた。

今週、米国の政策に端を発した市場の動きによって一定の圧力は和らいだものの、すでにダメージは生じている。システマチック型のヘッジファンドが一部でも損失を取り戻せるかどうかは、なお不透明だ。

多くのクオンツファンドは2025年を黒字で終えたが、2度の大きな損失局面を経験した。最初は初夏、次いで10月で、いずれもモメンタムの反転と低格付け銘柄の上昇(ジャンクラリー)が重なって足元をすくわれた。今回の急落も、主に3つの要因によるものとゴールドマン・サックスは分析している。つまり、ポジションの集中による損失、ベータ値の高い銘柄へのショートポジション、そして個別要因による逆風だ。

シンガル氏とライチーニ氏は顧客向けリポートで「個別要因による足かせは、6~7月の下落局面と同様、主にショートポジションによって生じたものだ」と指摘。その上で、今回はモメンタム戦略が一定の下支えになったとも分析した。

クオンツファンドの不調な滑り出しは、世界市場のボラティリティーとも重なっている。人工知能(AI)と経済への信頼感を背景に、投資資金がリスクの高い銘柄や小型株へとシフトしていたが、今週初めには情勢が急変。トランプ大統領がグリーンランドの掌握を主張し、貿易戦争再燃への懸念が広がったことで、リスク選好の動きは急速に冷え込んだ。

コンピューターによる取引を主体とするヘッジファンドは通常、さまざまな独自の売買シグナルに基づいて運用しているため、損失の原因を正確に突き止めるのは難しい。市場全体を俯瞰(ふかん)するアナリストは、一般的に「ファクター」と呼ばれる株式の特性に基づいてパフォーマンスを分析しており、これらはリターンを左右する要素として学術的にも体系化されている。

今月を含む3度の損失局面には共通点がある。いわゆる「ジャンク資産」の上昇は、リスクが高く値動きの荒い銘柄が急騰する相場展開だ。このような局面では、そうした低格付けの企業をショートする傾向にあるクオンツファンドが打撃を受けやすい。

ウォルフ・リサーチのクオンツアナリスト、イン・ルオ氏は電子メールで、「多くのクオンツは『ファクターニュートラル』を目指しているが、ファクターが大きく動くと完全に中立を保つのは容易ではない」と指摘。「年初来の動きでは、大半のファクターが『逆方向』に振れている」と述べた。

システマチック株式ヘッジファンド、ファービジョン・アドバイザーズの共同創業者ブラゴ・バイチェフ氏は「年初の数週間でゼロからマイナス5%にまで落ち込めば、リスクマネジャーから電話がかかってくるが、それは年始のあいさつではない」と語った。

「ロング・ショートの両サイドでのポジション集中は、皆がヘッジまたは回避しようとしているにもかかわらず、なかなか避けがたいリスク要因であり、しかもその回避はますます難しくなっている」と同氏は続けた。

原題:Quants in Worst Losses Since October as Crowded Bets Buckle (1)(抜粋)

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