ウクライナのゼレンスキー大統領は米東部時間28日午前、フロリダ州に到着した。同日午後にトランプ米大統領と首脳会談に臨む。これに先立ち、ロシア軍はウクライナの首都キーウに大規模な空爆を実施した。

ゼレンスキー大統領は27日、訪米の途中にカナダ東部ハリファクスでカーニー首相と会談した。2人はその後、欧州諸国の首脳10人余り、北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長とのオンライン会議を通じて、トランプ氏との会談に備え意見調整を行った。

ゼレンスキー氏とカーニー首相は27日の共同記者会見で、カナダがウクライナに対し、25億カナダ・ドル(約2860億円)の追加経済支援を行うと発表。カーニー氏は追加支援について、「復興プロセスの開始に向け、国際通貨基金(IMF)と世界銀行、欧州復興開発銀行(EBRD)からの資金調達に道を開く」と説明した。

ゼレンスキー大統領はこれより先、戦争終結には同盟国から法的拘束力を伴う安全の保証を得ることが不可欠との考えをあらためて表明した。

一方、ロシアのラブロフ外相は28日に公開されたタス通信とのインタビューで、ウクライナとの和平協議について、「米国での政権交代後、欧州と欧州連合(EU)が和平の主要な障害になった」と発言。ウクライナと欧州は建設的な交渉に前向きな姿勢を示しておらず、欧州の部隊がウクライナに駐留すれば、ロシアにとって「正当な標的になる」との認識を示した。

ゼレンスキー氏はテレグラムとXへの投稿で、500機余りのドローンと、極超音速ミサイル「キンジャール」を含む40発のミサイルが、主にキーウのエネルギー施設や民間インフラを標的に発射されたと明らかにした。同大統領は米国と欧州諸国に対し、ロシアへの圧力を強めるよう繰り返し求めた。

「ロシアの代表者らは長々とした話し合いに関与しているが、現実にはキンジャールや(イラン製ドローン)シャヘドこそが彼らの本音を代弁している」とゼレンスキー氏は非難した。

攻撃は27日朝まで続き、キーウでは1人が死亡、少なくとも27人が負傷した。電力と水の供給が遮断され、複数の地区で火災が発生した。気温が氷点下付近を推移する中、人口約300万人の同市で住民の約3分の1が暖房を利用できない状態に陥っている。

ウクライナのスビリデンコ首相は、キーウおよび周辺地域60万世帯余りで停電が起きているとテレグラムに投稿。「ロシアは疲弊や寒さ、恐怖を植え付けることを狙った作戦を進めている」と語った。

キーウのクリチコ市長がテレグラムへの投稿で明らかにしたところによると、複数の高層住宅や車が炎上し、少なくとも11人が病院に搬送された。当局は計画停電の予定を変更し、首都で緊急停電措置を講じた。水道の供給も寸断された。

エネルギー省によれば、北部のチェルニヒウ州でも停電が発生した。

ロシア国防省は今回の攻撃について、「ウクライナ軍が使用しているエネルギーインフラと防衛産業施設を標的としたものだ」とテレグラムに投稿。「全ての目標に命中させた」と述べた。

一方、ウクライナはロシア南部サマラ州にあるシズラン製油所を攻撃したと発表した。同製油所への攻撃は今月に入って2度目で、火災が発生したという。ウクライナ軍参謀本部は被害の程度について、現在確認中だとテレグラムに投稿した。ブルームバーグはこの攻撃やその結果を独自には確認できていない。

合意「ほぼ整った」

ゼレンスキー大統領はトランプ大統領との会談で、4年近く続くロシアのウクライナ侵攻を終わらせるための合意を目指す。

ゼレンスキー氏は26日、ウクライナ東部のドンバス地域やザポリージャ原子力発電所の将来など、慎重を要する問題についてトランプ氏と話し合う意向だと記者団に述べた。米国との合意内容について、早ければ28日の協議で細部を最大限詰める考えを示した。20項目から成る包括的な和平案については、その後にロシアと欧州からのインプットが必要になるとした。

ホワイトハウスが27日に公表した最新スケジュールによると、フロリダ州パームビーチにあるトランプ氏の「マールアラーゴ」クラブで、両首脳は米東部時間28日午後1時(日本時間29日午前3時)から会談する。

ゼレンスキー氏は26日、米ニュースサイトのアクシオスに対し、ロシアが最低60日間の停戦に同意することを条件に、和平の枠組み合意を国民投票にかける用意があると語った。

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トランプ大統領は26日に公開された米政治専門メディア、ポリティコとのインタビューで、ゼレンスキー氏とイスラエルのネタニヤフ首相がそれぞれ米国を訪れ、自分と会談することを確認した。トランプ氏はまた、ウクライナ・ロシア間の和平合意はどのようなものでも、自分が拒否権を持っていると主張した。

「私が承認するまで、ゼレンスキー氏には何もない」とトランプ氏は述べ、「どのような内容を提示してくるのか、見てみないと何とも言えない」と続けた。

ゼレンスキー氏は、米国との間で進められている枠組みの合意は「ほぼ整った」とも述べ、署名するかどうかはトランプ氏との会談次第だとした。

トランプ氏は、ロシアのプーチン大統領と「近いうちに」話し合う予定で、自分が「望むだけ」話すつもりだと述べた。ロシア、ウクライナ両首脳との対話がいずれも「うまくいく」との見通しも示した。

ゼレンスキー氏は26日にドイツのメルツ首相、北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長、フィンランドのストゥブ大統領らと相次いで電話で協議した。

ゼレンスキー氏は欧州の指導者たちにも、米国との会談にオンラインで参加してほしいとの意向を示していた。枠組み合意より広範にわたる20項目の和平案の方は「90%出来上がっている」が、策定に関わったロシアと欧州抜きでは署名できないと述べた。

ロシアの反応

タス通信によれば、リャブコフ外務次官はウクライナが立てた最新計画について、ここ数週間に米国と協議してきた主要ポイントと「根本的に異なる」と語った。

ウクライナと欧州の支援国が現実に戦争を終わらせる合意を「妨害する努力を倍増している」と、リャブコフ氏は非難しつつ、25日の交渉では一定の進展があったとも示唆した。

「12月25日は双方が問題解決に近づいた転換点となった。今こそ突破口が必要だ」とリャブコフ次官は話したという。

敵対行為の終結に向けた圧力が高まる中でも、ロシアはミサイルやドローンを用いた定期的なウクライナ攻撃を継続している。最近ではオデーサが集中的に攻撃されている一方、ウクライナ軍はロシアの製油所やガスプラントを標的としている。

ウクライナのクレバ副首相によるソーシャルメディアの投稿によれば、26日にオデーサへの攻撃で1人が死亡し、民間人が複数負傷した。損傷は港湾インフラや倉庫、民間船舶2隻に及んだという。他にも、北東部のハルキウ、中部のチェルカーシ、南部のムィコラーイウも空襲を受けた。

原題:Zelenskiy Heads to US to Meet Trump as Russia Bombards Kyiv、Russia’s Lavrov Assails Europe as Trump, Zelenskiy Set to Meet、Russia Strikes Kyiv a Day Before Zelenskiy-Trump Meeting (1)、Zelenskiy, Trump Set to Meet as Russia Questions Peace Plan (2)(抜粋)

--取材協力:Deana Kjuka、Aliaksandr Kudrytski、Hadriana Lowenkron、Vincent Lee.

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