米CBSニュースの新たな責任者が、報道番組「60ミニッツ」で国外追放されたベネズエラ人移民に焦点を当てた特集の放送を取りやめたことで批判を浴びている。

この特集は、米国から中米エルサルバドルの悪名高い最高警備刑務所CECOTに送られた複数のベネズエラ人をシャリン・アルフォンシー記者が取材したもので、12月21日に放送される予定だった。しかし、CBSのバリ・ワイス編集長が週末、追加取材の必要性を理由に放送を延期した。

ワイス氏は声明で、「われわれが放送する全ての番組ができる限り最高の内容となるよう万全を期すのが私の仕事だ。内容が不十分、あるいは重要な声が欠けているなど、いかなる理由であれ準備が整っていないストーリーを保留にすることは、どの報道機関でも毎日のようにある。準備が整い次第、この重要なストーリーを放映するのを楽しみにしている」と説明した。

複数の報道機関で回覧されたメモの中で、アルフォンシー氏は自身のストーリーについて、5回の試写を経て、CBSの弁護士らの承認を得ていたと説明。複数の米政府当局者にコメントを求めたが、拒否されたという。

「私の見解では、あらゆる厳格な社内チェックを経た後に今になって撤回するのは、編集上の判断ではなく、政治的な判断だ」と同氏は指摘した。

アルフォンシー氏はコメント要請には応じなかった。

このストーリーはカナダでは一時的にオンラインで視聴可能だった。現地の視聴者がその録画をユーチューブに投稿した。

CBSの親会社パラマウント・グローバルとスカイダンス・メディアの合併を規制当局が承認した後、CBSはトランプ政権に迎合するよう圧力を受けているのではないかとの懸念がメディア業界に広がっている。

両社の合併で誕生したパラマウント・スカイダンスは現在、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーの買収を目指しており、実現には米連邦政府の承認が必要となる。

米国エンタープライズ研究所(AEI)の非常勤シニアフェロー、クレイ・カルバート氏は電子メールで、「トランプ氏に不利になり得る点を避ける姿勢が60ミニッツの新たな現実になる可能性はあるが、まだ分からない」との見方を示した。

今回の同番組の判断は、ウォーレン上院議員(マサチューセッツ州)やマーフィー上院議員(コネティカット州)ら民主党議員の反発を招いた。

バンホーレン上院議員(メリーランド州)はソーシャルメディアで、「トランプ氏のメディア攻撃は意図した効果を上げている。同氏に立ち向かうことに消極的か恐れるメディア企業がますます増えており、自由な報道に直接的な脅威をもたらしている」と警告した。

原題:Bari Weiss Pulls ‘60 Minutes’ Story in Fresh CBS Controversy (1)(抜粋)

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