(ブルームバーグ):暗号資産(仮想通貨)ビットコインは、2025年最後の数週間に強い圧力にさらされていることがオプション市場の動きに示されている。約230億ドル(約3兆6000億円)相当のオプション契約が来週26日に満期を迎える予定で、すでに高水準にあるボラティリティー(価格変動率)をさらに増幅させる恐れがある。
満期を迎える額は、最大のビットコインオプション取引所デリビットにおける全建玉の半分以上を占める。建玉の積み上がりは、一段と危うさを増す市場で相場下落リスクが続くと想定されていることを映している。ビットコインは米国時間17日に1時間で乱高下し、ロング(買い)とショート(売り)の両方のポジションで連鎖的な清算が起きた。暗号資産市場全体の時価総額は3兆ドル前後で推移している。
時価総額で暗号資産最大のビットコインは18日、一時4%高の8万9430ドルまで上昇したが、その後は上げ幅を帳消しにした。10月上旬に過去最高値12万6000ドル超を付けて以降、約30%下落している。シンガポール時間19日午前8時(日本時間同9時)時点では8万5465ドル。

デジタル資産取引プラットフォームのDerive.xyzを創設したニック・フォースター氏は、「ビットコインのポジションは依然として明確に弱気だ。30日ボラティリティーは45%近くまで上昇し、スキューはマイナス5%付近で推移している。長期スキューも同水準にとどまっており、トレーダーが第1四半期から第2四半期にかけての下落リスクを織り込んでいることを示唆している。これはこれまで動いてなかったウォレットからの継続的な売り圧力が現物価格を押し下げているためだ」と分析した。
12月26日満期のポジション分布では、強気派が10万ドルと12万ドルの権利行使価格にコールオプションを集中させており、年末の反発をわずかに期待する動きも見られる。一方、弱気派は8万5000ドルにプットオプションの建玉を積み上げており、STSデジタルの推計では約14億ドル分の建玉がこの水準に集中している。この価格帯がオプション満期に向けて重力のような「磁石」として作用する可能性があるという。

市場心理は依然として不安定だ。ビットコインは四半期ベースで23%下落しており、2022年4-6月期(第2四半期)以来の最悪のパフォーマンスとなる見通しだ。
BRNのティモシー・ミサー氏は、ビットコインが重要な水準を回復できず「脆弱(ぜいじゃく)な持ち合い状態に閉じ込められている」と指摘する。
フォースター氏は「全体としてボラティリティは高止まりし、ポジションは防御的だが、上値余地が完全にあきらめられたわけではなく、市場は波乱の年明けに備えている」と述べた。
原題:Bitcoin Volatility Rises Ahead of $23 Billion Options Expiry (1)(抜粋)
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