トランプ関税や緊迫する国際情勢に揺れた今年の世界経済。日本は、どう立ち向かうのか。3夜連続でお伝えする「日本経済の現在地」。第1回は、半月にわたる同乗取材で見えてきた貨物船からの自動車輸出のイマです。「関税の最前線」で目撃したのは、各国の思惑が交錯する、知られざる“海の渋滞”でした。

「ギャング」の神業 貨物船に密着

海運大手・商船三井本社の“心臓部”。巨大なモニターに映る無数の白い点は、この会社が運航に関わる船の現在地です。

商船三井製品輸送事業本部 安部規雄本部長
トランプ関税に振り回された1年。矢印の方向が変わっていく」

アジアの海に“異変”が…私たちは自動車船に乗り込み、その最前線を取材しました。

山口県・防府市の港にやってきたのは、自動車船「TURQUOISE ACE (ターコイズエース)」。全長約200メートル、高さは15階建てのビルに相当する、巨大船です。

今回運ぶのは数日前に出来上がったばかりのマツダの車。ヨーロッパまで約5000台を送り届けます。

早速、船に乗り込むと…次々と車を並べていくのは、「ギャング」と呼ばれるプロ集団です。 

一台でも多く乗せるために、サイドミラーは閉じたまま。笛などの合図と感覚を頼りに、一発で駐車位置におさめます。

1時間に100台ほどのペースで、この日は約1000台を積み込みます。車の間隔はわずか20センチ、スロープにも駐車します。

司令塔の操舵室でも準備が進み、日本を離れます。